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二
今日はいつもより賑やかだ。
部屋の外を、城島家の使用人たちが何人も行き交っている。その誰もが大荷物を抱えていてとても忙しない。七生はそわそわと身を捩りながら、それを眺めていた。
そんな七生を見ていた城島は、最初こそ気にはしていなかったものの、あまりに七生が外を気にしていたので、痺れを切らして声を掛ける。
「……気になるか?」
「はい、すごく忙しそうだなって」
今日は色々とある日だからなぁ、と城島は言った。七生が小首を傾げていると「お祝いだよ」と照れた城島から、ぶっきらぼうにそう返ってくる。
城島の父親は、初対面の頃から七生のことを気に入り何度も面会をとせっついて来ていた。婚姻の話を聞くなり、七生と使用人達を即時に受け入れ、息子の“伴侶”として、七生を快く迎え入れてくれた人物だった。
それから七生は、城島が元々過ごしていた城島家の本邸に住むことになった。
城島家は、日本で三本の指に入る大富豪で、最大手グループの会社経営や様々な事業で国を支えている。七生との婚姻によって、城島太史(きじまたいし)は下される予定だった当主を任されることになり、色んな会社を回ってはそれらの仕事に追われている。
夫が多忙なので、七生は城島と過ごす時間があまり取れてはいなかった。
「せっかく仕事しなくて良い日なのに、なんで今日やるかねー。新婚生活もっと味わっても良いだろうよ」
そう、テーブルに突っ伏した城島が拗ねたように言う。
今日は二週間振りに、七生と城島が二人で過ごせる日だった。けれど今日は、城島の多忙のため行われていなかった結婚祝いのパーティーの日だ。
なかなか触れ合えていないと不安になるものかなと七生は思っていたけれど、隣で小言を言っている城島は憎めなくて、少し可愛いとさえ思った。
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