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「このブロンズの髪色と朱色の眼……とっても良いわ、絵になる。オメガ特有の儚さが良いのよね」
素敵ねえ、と恍惚な表情で見つめてくる仁美に、七生は恥ずかしく身を捩ってしまう。
女性といっても、仁美は誰もが見て分かるほど気高い雰囲気を纏ったアルファだ。二十代後半で大人びた女性だが、可愛いものに目がない。
「仁美さん、七生が引いてるから」
城島が言うと、仁美は「あらごめんなさい!」と一歩引いて七生の顔色を伺ってくる。その所作一つ一つがとても美しく、七生は少し見惚れてしまった。
「私、越谷仁美(こしがやひとみ)って言うの。城島さんとは当主継いだもの同士で、ここ何年かの仲なんだけど、七生ちゃんがいるなら私城島の家に入り浸るわ!」
「やめてくださいよちょっと」
すかさず城島が言うと、七生はなんだか可笑しくなり笑ってしまう。
「八神……あ、城島七生です。主人がいつもお世話になってます」
ぺこりとお辞儀をした七生を見て、仁美はまた「可愛い〜!」と声を弾ませた。なんだか照れ臭くて、目が合わせられない七生はきょろきょろとしてしまう。
———少しの間が空いて、仁美はん?と小首を傾げ始めた。
「今、八神……って言ったの?」
「はい。旧姓は……母方の姓を名乗っていたので」
「八神って、あの……」
七生の言葉に、仁美は何か思い出そうとしているようだった。
そして、彼女が声に出してそれを言ったとき、七生は思わず目を見開いてしまった。
「もしかして、“美代子さん”の息子さん!?」
それは、紛れも無い七生の母親の名前だった。
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