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仁美は、どうやら七生の母親の知り合いらしい。
思いもよらず聞けた自分の母親の話に、七生は凄く胸が躍っていた。
イギリスの名家との婚姻で渡英した七生の母親は、それから定期的に連絡をしていたらしく、オメガが産まれたことも実家には報告していた。七生自身も、母方の祖父母にはお世話になったことがある。急に、日本に来た意味が見出されたような気がして、とても嬉しかった。
仁美は「母方の姓を名乗ってるなんて思わなかったわ」と驚いていたけれど、嬉しそうな七生を見て、また会って話をしましょうと言ってくれた。
隣で話を聞いていた城島は少し不機嫌そうだったけれど、貴重な母親の話を聞けたことが、七生にとっては意味があるものだ。
「母親の知り合いだなんてなー」
「ほんとに驚きました。また仁美さんと話したいです」
語尾にまだうきうきが残っている。七生の声音に負けたのか、城島は「分かったよ」と頭を撫でてくれた。
パーティーはその後夜まで続き、七生と城島が挨拶を回り終えたところでお開きとなった。ろくに食事が出来る時間が無かったけれど、終わったあとに軽めに食べて部屋へ戻る。
何時間と着ていたタキシードがそろそろ息苦しくなってくる時間だ。
七生はふう、と息を吐き、首元のボタンをいくつか外した。
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