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「疲れたか?」
「……少しだけ。でも楽しかったです。城島さんの挨拶の仕方、とってもスマートで、カッコ良くて」
惚れ直した?といたずらに笑った城島に聞かれた。七生はかっと頬を赤らめ、こくこくと頷く。満足そうににんまりとした城島は、七生の身体を自身の方へ引き寄せた。
その手は愛しさで満ちている。七生は城島に触れられるだけで、どきどきと心臓が高鳴っていた。
「お、風呂沸いてる。七生入る?」
「俺は後で入ります。城島さん先にどうぞ」
部屋へ戻ると、使用人が風呂の準備をしてくれていた。七生と城島の部屋には居間の奥に風呂が併設されていて、食事を終えれば大抵は自室で過ごすのが一般的になっていた。
入籍を済ませてから一か月も経っていないけれど、七生はまだ、城島と共にベッドに入ったことがない。それは彼の多忙ゆえのことだったが、誰かと一緒に寝たことのない七生は、いざその時が来るとなると、緊張して身体が強張ってしまう。
(一緒に寝るだけなんだし、多分、大丈夫……大丈夫)
(……でも、隣でって……緊張するなぁ)
相反する感情がぐるぐると頭を巡っていく。いつの間にか、城島は風呂から上がっており、七生は二十分もの間考え込んでいたらしい。
お前も入ってこいよ、と促され「はい……」と呟く。城島の髪はまだ濡れていて、黒髪が水分でキラキラと光っていた。タオル地の寝間着が少し意外で、七生はくすりと笑う。そして城島の肩にかかったバスタオルを頭に掛け直して「拭かせてください」と言うと、軽く水分を拭き取ってやった。
「おお、さんきゅ」
「……風邪引いちゃいますよ」
そう言って城島を見上げると、彼はまたいたずらな笑顔を浮かべてキスを落としてくる。びくりと肩が震えた七生を見て、城島は「あ、わり」と軽く言った。
「お、お風呂、入ってきますっ」
ドキドキ、と心臓がうるさい。
それを誤魔化すように、七生はそそくさと風呂場へ駆け足で向かった。
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