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七生と城島の部屋は二階の奥にある。本邸は三階建で、コの字を描くように建設されている。敷地に入るとすぐに、大きい噴水が目に入るようになっていて、裏庭にも植木や植物などが多く植えられていた。
今の時期によく見えるのは、ヒヤシンスやカーネーションで、それぞれ別の場所ではあるけれど、色のグラデーションがとても綺麗に咲いている。
「奥様がお花がお好きだったとのことで、このようなお庭なのだそうです。季節によって、違う場所に違う種類のお花が咲くんだそうで」
「凄いね。ここまではっきりは見たことなかった。こんなに綺麗なんだ……」
その端正に整頓された花たちに、七生は見惚れてしまった。根や葉がきちんと並んで植っていて、どこにもはみ出ていなかったからだ。どれもが綺麗に花を咲かせており、近くで見ると色の違いがはっきりと分かる。
「みんな、同じように咲いてる……」
イギリスにいた時にも、本邸の庭は見たことがあった。けれどここまで手入れされた庭は初めてで、七生もシャーロットも感心してしまう。
「庭師の方を雇っていると聞いたので、きっとその方ですわね。とてもお仕事が出来る方なのでしょうね」
シャーロットの言葉に、七生は「そうだね」と笑った。
「この色、良いな……」
七生はふと、目の前に咲いていた青色のヒヤシンスに惹かれた。それは濃い青色をしていて、丁度城島の瞳の色に似ている。
そんな七生を見て、シャーロットは何を考えているか分かっているようだった。
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