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「めっちゃ張り切ってるやんあの子」
「鉢植えなんてどこに仕舞ってあったんだろ……」
(本当に、シャーロットは何でも持ってるなぁ)
そう思っていると、隣で吹き出した末次が七生の方を見て笑っていた。「ほんまにな」と目元に皺を寄せて笑う末次につられて、七生も小さく笑ってしまった。
「七生、くん? でええんやんな?」
「へっ!?」
急に名前を呼ばれ、七生は素っ頓狂な声を出した。
「めっちゃびっくりするやん! 見た目どっちかなぁ思って。名前も女の子みたいやから」
「あ、すみません。男、です……」
「はは、謝るんは俺の方やから。城島の人に失礼かましてもうてすいません」
軽く頭を掻きながら、へらっと眉を下げて笑う末次は、軍手をはめると、近くに置いてあったブリキのバケツにスコップで土を入れ「移す分ね」と咲いているヒヤシンスを一株ほどそちらへ植え替えた。
そしてそのバケツを、七生の方へ寄せてくれる。
「ヒヤシンスの花言葉って知ってる?」
いえ、と七生が言った。
すん、と鼻を鳴らすと、花の匂いが鼻腔に広がっていく。
「色によってちゃうんやけど、青色のヒヤシンスは———」
末次は優しく笑って、その意味を七生に教えてくれた。
そのすぐあと、シャーロットが可愛らしい植木鉢を抱えてやってきた。「可愛いやん」と笑った末次は、そこへ一株のヒヤシンスを植え替えてくれる。
ヒヤシンスは、日向に置いておくこと。
水捌けを良くしておくこと。
毎日水をあげること。
———そう、末次は七生に言った。
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