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ヒヤシンスは、窓際の一番陽当たりの良い場所に置くことになった。シャーロットが水やりをしてくれると言ったけれど、七生は自身でやることにした。
深い青色をしたその花を見ていると、七生は城島を思い浮かべる。
(城島さんの眼の色に似てるからって、ちょっと安直すぎ……?)
そんなふうに思いはしたけれど、花を見ているだけで、なんだか気分が優しくなるような気がした。
「……もう、匂いはない、か」
自身を嗅いで、七生はそう漏らした。付いていた城島の匂いは、既に落ち着いて取れてしまったらしい。
アルファは匂いが強いために、セックスをすれば一定期間は相手の匂いが残るけれど、番にはなっていないのでそれはすぐに消えてしまった。
(番になれば、ずっと城島さんの匂いが付いてるのかな……)
城島はずっと、朝早くから夜遅くまで仕事に出ている。七生は変わらず、昼間は勉強をして、夜は自室で過ごすばかりだった。
寂しくないと、言ってしまえば嘘になるけれど、それを本人に伝えることが出来るほど、七生は我儘になれなかった。
ふと、先日末次から教えてもらったヒヤシンスの花言葉を思い出した。
“色によってちゃうんやけど、青色のヒヤシンスの花言葉は……”
「……“変わらぬ愛”、か」
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