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暑さに弱い七生にとって、夏場は注意しなければいけない季節だ。
体調もフェロモンも安定しなくなり、外には極力出ることが出来なかった。けれど、ここ数日ずっと籠りっぱなしのために、そろそろ外の空気が吸いたくなってきている。
(フェロモン安定しないのに、薬飲むのダメだって言われたし……)
イギリスにいた頃は薬を服用していたけれど、今はこんな状態でも飲むなと言われている。
全ては、アルファと番うための準備なのだと知っているけれど。
多忙の中で、城島と番になる時間を見つけることはなかなか出来ないことだった。
「シャーロット、外に出たい……」
「今日はお暑いですよ。せめて屋敷の中だけなら、体調も崩れはしないでしょうけれど」
「せめて、薬だけは飲むの許してくれないかな……」
そうですねえ、とシャーロットは考え込むように首を傾げている。
「婚姻なされている状態ですと、早く番われた方が安心と言われるのも納得です。アルファの匂いを纏ったオメガを襲おうと思う方なんて、いなくなりますもの」
七生の首にはまだ、城島の歯形は付いていない。
初めの頃は、少しずつ時間を見つけて、その時が来たらすぐに番えるものだと思っていた。
———まさかそれが、こんなに難しいことだったなんて。
城島様とご相談なされては、とシャーロットに提案されたけれど、七生はなかなかその気になれないでいた。忙しい時に、自分の我儘で言ってしまって良いのだろうか。
「……ちょっと考えてみる。あと、一人で敷地内散歩してきて良いかな?」
「お一人で大丈夫なのですか?」
「うん。シャーロットも他に仕事あるでしょ? 俺のことは気にしないで」
七生の言葉に、シャーロットは渋々頷いた。
淹れてくれているハーブティーを飲み干すと、七生は軽い足取りで立ち上がる。
ぐっと背伸びをしてから、部屋を出た。
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