アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
———……
———……
「……今日は天気が良いな」
廊下の窓から見た空は雲一つない。澄んだ水色はどこまでも続いているようだ。外には熱気が満ちていて、空調の効いている室内からでも、外気温の暑さが分かる。
(……あ、)
ふと建物の一階へ視線を落とすと、末次の姿が眼に止まった。
三十度を超える暑さの中、彼は黒い長袖に紺色のパンツで仕事をしているようだ。
(……今、行っちゃ迷惑かな?)
七生はそう思ったけれど、前に話した時、末次とは仲良くなれそうな気がしたので、冷たいものの差し入れをしようと使用人に声を掛ける。
「……あの、一階の南側通路に、冷たい飲み物と何か軽食をお願いします」
また声を掛けてください、と七生が言うと、近くにいた使用人の女性が戸惑いつつも「はい」と返事をした。
そのまま、七生は一階の噴水の見える庭園へ小走りで向かう。
「……末次さん!」
名前を呼ぶと、末次は振り返って目を丸くしていた。まさか七生から声を掛けられるとは思っていなかったのだろう。一瞬驚いたような顔をしたけれど、すぐにあの人懐っこい笑顔を七生へ向けてくれる。
「七生くん! どないしたん?」
「窓から末次さんが見えたので!」
なんやそれ、と末次は笑う。
近くで見ると、着ている黒い作業着は汗で濡れていて、首にタオルを巻きつつ仕事をしていたらしい。
庭師は基本外で作業をする仕事だ。けれどこの暑さでは、参ってしまうこともあるのかも知れないと七生は思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 178