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中庭にあるガゼボには、この時間陽が当たらず丁度陰になっていたので、そこで二人で話すことにした。
使用人が持ってきてくれたのは、七生が部屋で飲んでいた冷たいハーブティーと、二口もあれば食べられるサンドイッチだ。パンが少しトーストされていて、香ばしい匂いがしている。
「おれサンドイッチめっちゃ好きなんよ。ありがたいわ」
頂きます、と末次は手を合わせる。
一口頬張ると、うま、という短い言葉が漏れた。
(綺麗に食べてくれてる……所作がちゃんとしてるんだな)
末次は姿勢が良く、身長もそれなりにある。七生と並ぶとそれは顕著で、おそらく城島とほぼ変わらないくらいだった。城島のような強くて気高い雰囲気とは違い、親しみやすい、懐っこい笑顔と優しさに溢れた話し方をする。
ベータは言わば凡人と言われるバースだけれど、末次の纏う雰囲気は、他のベータとは違っている気がした。
「……なんかあったん?」
「え?」
大好物だというサンドイッチを一つ食べ終えて、末次は言った。自分の心を見透かされているような気になって、七生は人一倍大きな声で驚く。
どうして分かったんだろう、と七生は首を傾げた。
「えっと……」
「なんかこの前と雰囲気ちょっと違うからさ。どっかこう、朧げな感じが」
感覚やけど、と付け足すと、末次は残りのサンドイッチを平らげてしまった。「うんまー」と言いながらもぐもぐ頬張る姿は、背丈に似合わずリスやハムスターのそれだ。
周りに花が咲いているような和やかな空気を漂わせていても、七生の微妙な変化には気付いたらしい。
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