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「おれに喋ってくれても良いよ? まぁベータやけど、力になれんことはないし」
「……えっと、その」
「城島さんのことで悩んでるのは丸分かりやけどなー」
え、なんで!? と、また七生は驚いた。
末次と会うのは、春先にこの中庭で声を掛けられた時以来だ。それなのに、彼は七生が何で悩んでいるのか分かっているようで、見上げた七生に、眉を下げた笑顔で笑いかけてくる。
(なんで、分かったんだろ……)
「おれ学生の頃城島さんと同じ学校通ってたことあるんよ。ちょっと世話にもなったことあるから、良かったら話してみ?」
ほれほれ、と催促をしてくる末次に戸惑いつつ、七生は口を開く。
「……その、俺まだ、城島さんと番になれていなくて。薬を飲んでないし、フェロモンと体調が安定しないので、出来れば番えたらなって、思ってるんですけど……」
俯いて、自信なさげに七生は伝えた。
オメガの自分を受け入れてくれただけで、とても感謝している。だからこそ、こんな要求をすることが心苦しかった。
「それ、そのまま言うたらええんちゃう? せやったら意外とすんなり聞いてくれそうやけどな」
「俺からのお願いでも、言って良いんでしょうか……」
本当に、自分の我儘で言って良いのだろうか。七生はそこが不安でたまらなかった。
「……城島さん側にも何か考えあるんかも知らんもんな。普通は、アルファは番の相手見つけるとすぐにでも噛みたくなるらしいから」
すぐにでも———
そう聞いて、七生は少しがっかりした。城島と結婚して早三ヶ月ほどが経つ。仕事が立て込んでいて会えていなくても、今日は帰る帰らないの連絡が来なかったことはない。
(それなりに、想ってはくれてるのかな……)
だけど、とぐるぐる思考が巡る。
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