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「き、城島さんの……学生の頃を知りたいなぁと」
「ああ、そうやな。聞きたい?」
こくこく、と小さく七生は頷く。
「高校生の頃の話やし、おれ一年の頃までしかおられへんかったから、城島さんにお世話になったんは半年くらいの話やで?」
それから、七生は真剣な顔をして、末次の話を聞いていた。
末次と城島が出会ったのは、末次が高校に入学した頃、入学式で祝辞を読んだのが城島だったこと。日本屈指の大富豪という家柄もあってか、その当時の城島は生徒会長をしており、その入学式で見たのが始めだったこと。
———荒れていた自分を、城島がよく世話してくれたこと。
末次の語り口は凄く軽快で、尚且つ思いやりもあった。七生は話を聞きながら、末次の想いも同時に聞けた気がしたのだ。
(……本当に、城島さんのこと慕ってたんだな)
「城島さんとおれは二歳差やったから、めっちゃ憧れた先輩やった。二年に上がる前に高校変えなあかんくなってもうたから、城島さんとはそれっきり会ってなくて。久々に会えたんがついこの前」
こーんな顔してた、と末次は両手で自身の目尻を上に吊り上げるように引っ張る。
「きっつい顔してんなーって思ってたけど、ちょっとしてからその理由分かったんよな」
末次は、七生の方を指差して微笑む。
「お、俺……ですか?」
「守らないとあかんもんが出来たからちゃうかなーって」
そう言われて、七生は自分の頬に熱が灯るのを感じた。
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