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「難儀やなぁ……頸噛むだけやないんですか? なんでそんなに躊躇ってんの」
「……てめえに関係ないだろ。七生も目ぇ覚めたんだから、もう帰れよ」
城島のあまりの冷たさに、末次は「ひっど」と言いながら眉を下げた。けれど末次は特に苛立つ様子もなく、七生に手を振りつつ部屋を後にする。
彼には、なぜ城島がこれほど冷たくなるのか分かっているらしい。
バタン、と部屋の扉が閉まる音がする。
城島と二人きりの部屋は、しんとして静かになってしまった。
「……あの、城島さん」
「ん?」
「末次さんに少し……きつくないですか? 俺のこと、助けてくれたのに……」
七生が言うと、城島は罰の悪そうな顔をした。
「……悪い。あいつには、気を付けておきたいっつうか。なんというか……」
「でも、あんな冷たい言い方は……俺、悲しいです」
城島はその言葉に、ぐっと息を堪えている。何かを言いたいけれど言えない———そんな表情だった。
「……悪かったよ。でも、七生をあいつには近づけたくない」
そう言うと、城島はぶすっと子どもっぽく不機嫌になった。
(拗ねた子どもみたい……)
と、七生は少し笑ってしまう。
こんな態度を取られると、七生はつい肯定してあげたくなってしまうのだ。
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