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「……喧嘩とは、珍しいですね」
「うん……俺が我儘になっちゃって。怒らせちゃったみたい」
えへへ、と力なく七生は笑う。
ごまかしだけれど、上手く通じただろうか———そんなことを心配しつつ、昼食で出されたコーンポタージュを少し啜る。最近食も進まなくなってしまった七生は、えらく痩せてきていた。
「七生様は、何も間違っておられません。城島様はきっと怖気付いておられるのですわ。オメガを娶(めと)ったのに番にもなさらないなんて!」
七生様のお気持ちを全然考えないで! ———と、シャーロットは如何にも「ぷんぷん」といった様子で怒りを露わにしていた。少し演技のように見えて、七生はそれを見て笑った。
「……俺は、城島さんに“いらない”って言われるのが怖いんだ。なんか、何もかも……終わってしまいそうな気がして」
けれど、やはり会いたくなってしまう。
会ってしまったら、自分が聞きたくない言葉を言われてしまうかも知れないのに。
「……七生様。お辛いなら、アドルフ様に伝えてイギリスへ帰られても良いのではないですか? ご結婚なされていても、番になれないのならまだ、やり直すことは……」
シャーロットが言い切る前に、七生は「それはダメだよ」と彼女の言葉を遮る。
「俺はまだ、城島さんのこと好きなんだよ。好きな気持ちが無くなればその選択も出来るんだろうけど、この気持ち抱えたままイギリスに帰るなんて……俺には出来ないよ」
ぎゅっと膝を抱える腕に、力が込もった。
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