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せっかくだし、と七生は約半年ほど前に、城島と出会った場所へ行ってみることにした。
それは中庭の南側、宴会ホールを出た場所にある。小さなプールと噴水のある場所で、七生は当時自分が休んでいた植木の側に腰を下ろした。
(……もう、この場所も懐かしいな)
アルファの男二人に襲われたところを、城島に助けてもらったのが初対面だった。
あの時は一瞬、怖そうな人なのかなと少しばかり思ったけれど、それから城島は、七生に対してはずっと優しいままだ。
好きだと自覚してからまだ、そんなに時間は経っていない。
自分のこの気持ちはなんなんだろうなと、七生はふと思った。ドキドキすることもあれば、まるで浮かぶみたいに気持ちがふわふわとしていることもある。その感覚がなんだか不思議で、初めての経験で、なんで言えば良いのかが分からず、ずっと言語化出来ないでいる。
側にいたいと思って此処にいるけれど、果たして自分の気持ちは一体、なんなんだろう。
(恋か、愛かって、話かな……)
難しいや、と七生は自身で考えるのをやめた。今はとりあえず、城島の気持ちを聞かなければ始まらない。
———お休みの日に、というか……お屋敷のどこかで会えたりしないのかな……
二人きりで話がしたい。
けれど、多忙な城島を捕まえるのはなかなか難しいのだ。
「———だから、七生くんのことだってちゃんと話した方が良いですって」
どうしようかと考えていると、宴会ホールの開いたドアから、聞き慣れた声が聞こえてきた。
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