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「七生さんて、オメガなんですよね? 僕すぐ迫っちゃうというか、がっついちゃう癖があって……」
「はは、大丈夫ですよ」
「オメガの人の持っているあの独特の匂いが、凄く魅力的で。カースト下位になるバースだけど、僕はオメガの人が好きなんです」
皆さん優しいし! と伊織は続けた。
そういえば、仁美にもこんなふうに、初対面の時に迫られたような気がする。思い返して、七生はふっと笑みを溢した。
「……伊織くんは、アルファですか?」
「はい! ……あ、敬語はやめてください! 僕まだ高校生だし、七生さんより年下っぽいので!」
七生は十八歳、伊織はというと、七生の一つ下の十七歳だった。けれど、アルファというだけあってか大人びて見える。年相応になるのは、笑顔になった時くらいだろうか。
「やっぱり、アルファの人は雰囲気が違うね。他のバースと何となく見分けがつく」
———それは、七生がオメガだからというのも関係しているだろうけれど。
伊織は、七生の言葉に眉を下げて笑うと「僕は少し違うんです」と呟いた。
「……僕は、ヒートが来ない欠陥品だから。誰とも番えないんじゃないかって思ってて。親からもあまり相手にされていなくて」
アルファのヒートが起きない。
まだ高校生だと、身体的な成長速度を理由にやってこない人は多い。大幅に、初めての発情期やヒートは、人間の第二次性徴期に起こる反応だ。男性だと、声変わりや精通の時期が人によって異なるように、ヒートの訪れも、人によって時期がある。
「まだ未成年なんだし、そんなに慌てなくても良いと思うよ。伸びしろがあるってことなんじゃないかな」
少なからず、アルファのヒートが初めてやってくるのは、大体十四歳頃から二十歳前後だと言われていた。
そこまで話をして、七生は側に控えていたシャーロットにお茶を用意するように頼む。渋々といった様子で、彼女は部屋から出て行った。
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