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「……んじゃ、大方片付いたっぽいんで俺はこれで」
「おう。助かった」
時計を見ると、もう一時を過ぎていた。ぼちぼち仁美と伊織が来る時間帯だ。二人が来る前に、一度七生の顔を見ておきたいと思ったので、城島は部屋へ戻ることにした。
「んな俺はこれで」と屋敷の外へ出ようとする末次を、城島は静かな声で呼び止める。
「……颯太(しょうた)」
「はい?」
「……またな」
そう言って微笑む城島に、末次は驚いた顔を一瞬見せたけれど、すぐにいつもの揶揄う後輩に戻ってしまった。
「なんすか? 気持ち悪いっすよー! 言われんでもまた来ますから! 寂しがらんといてくださいねー!」
「うるせえ! 寂しくねえわ! からかうな!」
ははは、と笑いながら、城島は手を振りつつ屋敷を出て行った。
あんなふうに揶揄ってくるような後輩でも、末次の場合は慕ってくれていた過去があるからこそ容認できる。城島には彼を“助けた”という気持ちがないけれど、何度も何度も末次に「ありがとう」と言われてきた。
なんだかんだ慕ってくれる後輩を、無下には出来なかった。なんだって、城島自身も末次のことは信用しているから。
(……あんなに舐めた態度取られるようになるとは思ってなかったけど)
———何だか、複雑な気分にはなる。それもこれも、ありがたい事だけれど。
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