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どうやら俺は肉体的にも精神的にも結構参っていたようで。
喉から出てくる胃液を便器に吐き出す。
全て吐き出すと、少しスッキリした。
「はぁ…。」と溜め息をつきながら水を流し、トイレの扉を開ける。
「…え、あ、美弥。」
そこには保健室に置き去りにしたはずの美弥がいて。
「お前、何があったんだ?」
真剣な眼差しで聞いてくる美弥に、俺は思わず目を逸らしてしまう。
この学校の生徒会長に告白されて、暴力振るわれて、ケツの穴掘られてるとか。
言えるわけないだろ。いくら親友でも。
俺が女だったらそういうことはすぐにでもバラして助けてもらうけど。
俺は男だ。男が男に掘られたとか誰が信じると思う?誰が助けてくれると思う?もし言ったとして俺が助けられる保証は?俺がこれから楽しく生きていられる保証は?
そんなの、ないだろ。
「…俺にも言えないことか。」
「悪い。」
下を向いてガシガシと髪を掻くと、ふわりと何かに包まれる感覚がした。
鼻にツいてくるのは光一の石鹸の匂いじゃなくて。柑橘系の爽やかな香り。
「俺に出来ることがあるなら、」
頭上から声が聞こえてきて。ああ、俺は今美弥に抱きしめられるんだな。と心の中で呟く。
「何でもやってやるから。そんな悲しい顔すんなよ。お前らしくない。」
そう言われて、より強く抱きしめられた。
視界がぼやけて、ポタポタと透明なものが俺の頬を伝う。
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