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それからあっという間に日は落ちて、夜になる。
「あっつ!熱いって!」
塁くんが逃げて、その後を幸が火のついた花火を持って追いかける。
美由紀さんと聡さんはそんな2人を見て笑っている。
そんな中俺と美弥は、蝋燭の近くで並んで花火をしていた。
高3の男2人が真顔でしゃがみながら並んで花火をする光景は実にシュールだ。
ボーッとピカピカと光る花火を見ていると、美弥に話しかけられた。
「…流栖。」
「ん?」
チラッと美弥の方を向くと、美弥は自分の持っている花火を見ていた。
「お前。楽しいか?」
「何が?」
「今。今日。楽しかったか?」
美弥が俺の方を向き、真面目な顔で聞いてくる。
あの、トイレで話したときと同じ目。
「ああ、すっげー楽しかった。」
正直に答えてやると、美弥は溜め息をついて花火に目線を戻す。
「…なら、良かった。」
安心したような表情をする美弥に少しうるっときた。
俺にもちゃんと仲間は、心配してくれている人はいるんだなって。
俺は今、今まで生きてきて1番幸せかもしれない。まだ十数年しか生きてないけど。
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