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五年前、霧島胡詩(きりしまこうた)は、幼馴染であり最愛の人であった東雲蒼(しののめあおい)を事故で亡くした。
蒼はハンドル操作を誤った大型トラックに撥ねられ、即死だったのだという。葬儀にも、蒼の遺体は無かった。遺影で爽やかに笑う彼とは反対に、そんな綺麗な顔を保っている状況ではなかったのだ。
蒼が事故にあったのは、胡詩と約束をしていた場所へ向かっていた最中のことだった。胡詩は当初、その事をとても後悔していたし、自分を責めずにはいられなかったけれど、小さい頃から良くしてもらっていた蒼の母親は、そんな胡詩を見て「ありがとう」と言った。
“こうたぁー!”
うるさいくらい響いたその声は、今でも忘れられない。快活な性格をしていた蒼は何にでも興味を持ち、友人も多かった。胡詩はそんな蒼のことを尊敬していて、蒼のようになりたいと一時期は憧れたりもしたもので。
「……もう六回忌だって。早いよな」
アパートの二階、ワンルームのこじんまりとした部屋。ほぼ形だけになってしまっている本棚の一番上に、蒼の写真を飾っている。
青みがかった黒髪にサファイアのような瞳をした蒼は、幼馴染目線から見ても異性から人気があった。高校時代は一ヶ月に一度は誰かしらから告白されていたし、大学に進学してからも同性異性関係なく友達は多かった。
そんな相手にやきもきして、時には嫉妬していたなぁと思い返す。
好きだったのは自分だけだったんだと、とても焦っていた高校生の頃。
———その気持ちが通じたのは、大学に進学して少しした頃だった。
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