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「やっぱ無理、離せよ」
「それは出来ねえって言ってるだろうが、往生際悪いやつだな」
「じゃあ、オカズもってこいよ。そしたらわかるだろ、不能じゃないって」
「オカズなんていらねえよ」
「は?」
「直接弄った方が早いだろ?」
「せっかく俺がいるんだから手伝ってやるよ」有り得ない。どうやったらそんな思考に辿り着くんだ。そう唇の両端を持ち上げ下品に笑う政岡。
ようやくこいつの化けの皮が剥げたようだ。顔面から血の気が引き、慌てて目の前の政岡の肩を掴み離そうとする。が、逆に手首を取られ、そのまま抱き寄せられた。
「そんなに怖がんなよ。ちょっと確かめるだけだって言ってんだろ?」
腰を強く抱き寄せられ、下半身が密着する。耳元で囁かれ、ぞくりと全身が粟立った。
まるで女相手に口説いてるかのようなその政岡の態度に凄まじい拒絶反応が現れる。
「……っていうか、近くね?」
「知らねえのか、暴れるやつを落ち着かせるには抱き締めるのが一番いいんだよ」
暴れるような原因作ったやつがやったらそれはただの逆効果だけどな。
腰を撫でるように制服の裾を持ち上げる政岡の手はそのままどさくさに紛れて服の中に滑り込んでくる。下着越しに尻を撫でられ、再び貞操の危機を察知した俺は「わかった」と声をあげた。
「なんだよ、わかったって」
「勃起したところ見せればいいんだろ? 自分で勃起させるからさ、一旦離れろよ」
「自分で? なかなか変態だな、お前も」
まさかの変態扱い。人が渋々妥協してやったのにこの態度はいかがなものだろうか。そしてお前に言われたくない。
「いいから離れろよ」と政岡の肩を押し返せば、「わかった」と素直に政岡は俺から体を離した。そして人一人分政岡が離れたとき、俺はすかさず仁王立ちになった政岡の股下に足を滑り込ませ、そのまま思いっきり蹴り上げる。
「ふぎゅっ」
厳つい政岡の口からなんとも可愛らしい声が出た。美形台無しの顔をし、内股のまま前のめりに倒れる政岡。太ももの柔らかい感触が離れない。顔面蒼白になり、床の上で悶絶する政岡を見下ろした俺は内心ほっとし、そのまま踵を返し岩片たちの元へ向かおうとした。
そのときだ。なにかが足元に絡み付き、そのまま強い力で引っ張られた俺は「え」と目を丸くする。
次の瞬間、足の自由を奪われバランスを崩した俺はそのまま派手に転倒する。顎打った。ちょっと泣いた。
「……てんめ゛ぇ、人が優しくしてやってんのによくもぉ……」
背後から聞こえてくる地を這うような低い唸り声。背後で動く影に俺は内心冷や汗を滲ませた。てっきりもう暫くは動けないと予想していたのに、なんということだ。
「人を騙しやがって……おまけに蹴りまで入れるとはいい度胸じゃねえか」
慌てて立ち上がろうとするが、伸びてきた政岡の手に後頭部を掴まれ廊下に押し付けられたおかげで抵抗は身動ぎで終わってしまう。
「この俺に喧嘩売ったこと、覚悟出来てんだろうな」
喉奥から絞り出すような低い声。
うわーに流石やばいな。どうやら金蹴りはまずかったようだ。そんな思考が後悔という念となって胸の奥から込み上げてくる。
床の上に這わされた俺は数秒前の自分がとった軽はずみの行動を悔やんだ。
どうせなら気絶するくらい強くやっておけばよかった。
「いやー悪かった、まじで蹴るつもりなかったんだって。ホント。ビックリしたからつい足滑ったんだよ、ごめんな?」
こんなことで流してくれるようなやつとは思ってないが、これで済むならそれが一番いい。あくまで奴らのゲームの目的はターゲットに告白させることだ。ならば友好的な関係で済ますことが出来ればそれが最良の選択なはずだ。
そう判断した俺はあくまで申し訳なさそうに謝れば、背後からは低い笑い声が返ってくる。
「駄目だ、許さねぇ」
まさかここまで単細胞なやつとは思わなかった。いやまあ過剰防衛を取った俺も悪いのだろうけど、ここでその選択を選ぶのは賢くない。
ベルトをがっしりと掴まれ、そのままウエストをずり下げられそうになる。いくら人気がないとはいえ、ここは廊下だ。今思い出した。ここは廊下だ。学生寮の敷地内である時点でいつどこから人が来るかわからない。
公開露出プレイなんぞ興味もないし体験したくもない俺は慌ててウエストを掴み、脱がされないよう必死に抵抗する。
「ちょっ、待てってば、なあ」
「うっせえ、暴れんな!」
この状況で暴れない方がおかしいだろ。慌てて脱がされないようベルトを掴み上げながらそう背後の政岡に声をかければ、どこぞの強姦魔のような返事が返ってきた。いやあながち間違ってないが。
「取り敢えず、落ち着けよ。な?」
マジギレしてる政岡を宥めるようにそう声をかければ、「誰のせいだと思ってんだよ」と怒鳴り返される。俺のせいです。
しかしここでめげては俺の貞操が危ない。こんな場所で脱処女なんてしたくない。というかこんな場所じゃなくてもお断りだがとにかく、この危機をどうにか回避するしかない。
「取り敢えず聞けよ」
「なにをだよ」
「俺さあ、まじで政岡には悪いことしたと思ってる」
「言い訳なんて聞きたくねえ」
「違う違う言い訳じゃない。政岡の傷を癒すためならなんでもしたいのは山々なんだけどな、こんなところで無理矢理やってもお互い気持ち良くならないだろ?」
なんとか政岡を説得させようとする俺。しかし政岡から見たらケツしか見えないわけだからなんともかっこうがつかない。が、構わず俺は続ける。
「だから一旦この場はお預けにしてさ、ちゃんと環境やら準備やら整えて改めようぜ。悪くないと思うけど、俺は」
まさか、その場しのぎとはいえこんなことを自分から言う日が来るとは。我ながらとんでもないことを言っていると思う。本当政岡から顔が見えなくてよかった。岩片と一緒にいるおかげで色々感化されてしまったのかもしれない。非常に不本意だが、俺の貞操のためなら仕方ない。
「なんだ? 嫌がってた割りにノってんじゃねえの」
「物分かりがいいんだよ」
自分でもなかなか苦しいと思ったがどうやら政岡には効果があったようだ。
「へぇ」と勘繰るように呟く政岡。
背後からの舐めるような視線に寒気が走る。もしかしたらとは思ったが、こいつまじで下半身でものを考えるタイプの人種のようだ。マジギレしてたくせに俺の言葉に気をよくする政岡に安堵する反面、ここの生徒会はこんなやつらしかいないのかと呆れずにはいられない。
「お前、今なんでもするって言ったよな」
そして政岡は確かめるように尋ねてくる。不意にスラックスを脱がせようとしてくるその手から僅かに力が緩んだ。
「例えばどんなことをするんだ?」
察しろよ、そこは。
恐らく背後の政岡はにやけ面を晒してこちらを見下ろしているのだろう。わざわざ人の口から聞き出そうとしてくる政岡に俺は眉間を寄せた。
「……痛くないのならなんでも」
「言ったな?」
なんなんだ、さっきから。やけに意味深な政岡の態度を訝しく思ったとき、スラックスを持ち上げる手首を無理矢理振り払われる。
「うわっ」
そう慌てた俺が再度ベルトを掴もうと体勢を立て直したときにはもう遅かった。
ずるりとスラックスを脱がされ、下着一枚になった下腹部が寒くなる。色々な意味で。
「何度も何度も同じ手に引っ掛かると思ってんのか? お前がなに考えてるかぐらいわかんだよ、ペテン野郎が」
話が違う。そう口を開こうとしたとき、先ほどまでの軽薄な調子はどこへいったのかそう鼻で笑う政岡は言いながら下着をずり下ろした。
嘘だろ、もうすぐ落ちるかと思ってたのに。寒くなる下半身に、顔面から血の気が引いていく。
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