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プロローグ
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「あたし好きだったよ。君のこと。でもね……ごめん、理解できない」
「あ、そっか」
「ごめんね。わかってあげられなくて」
「大丈夫だよ。こんなん慣れっこだから。気にすんな?」
新(あらた)は、手をヒラヒラ振りながら彼女に背を向けた。
『あなたが何を考えてるかがわからない』
『あたしより、部活のが大事なんでしょ?』
泣きながら別れを告げる彼女を見るのは、もう慣れっ子だ。
それも仕方ないかな、と新は思う。
なぜなら、新は自分が自他共に認めるくらい変わり者だという自覚があるのだから。
普通の人と、考えていることの物差しがそもそも違うのだ。いや、次元そのものが違うのかもしれない。
何より、彼にとって一番大切なのは部活のバスケットなのだ。
こればかりは、何があっても譲れない。譲る気もない。それを理解してもらえないなら、彼女の望み通り別れてあげることしかできない。
それが、せめてもの最後にしてあげられることだから。
いつも「ありがとう」の思いを込めて、潔く身を引いた。
「また、新しい彼氏を作って、幸せになってね」
新の小さな小さな呟きは、湿気を含んだ温かい風にさらわれて行った。
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