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99連敗な俺と後輩 1
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「おっはよース」
週明けの月曜日。
桜舞い散る駅前の大通りを、魂の抜け殻と化してトボトボと歩く俺に背後から声がかかった。底抜けに明るいこの声は、振り返らなくても誰かわかってしまう。
「はよ…」
「うぉぉーっと、その顔はまたまたまたまたまたまたまた振られたんですねぇ、センパーィ」
ニヤリと人の悪い笑みを浮かべ、特に急いだ風も無いのに横並びに追いついて来たのは足の長さが違うからか?ポンポン気安く背中を叩かれるが、それを払う気力さえなく溜息で返した。
くせっ毛の髪をふわふわと靡かせ、ほんの少し屈んで俯いた俺の顔を探ってくる。釣り上がり気味の瞳には、全く俺を労る気持ちもなければ、励ます気も無い。毎週のことだから、ルーティーンとして確認されてるんじゃないか。
「傷口を抉るな」
「先輩に毎回傷口が出来てたら、今頃出血多量でこの世にいませんよ?」
「塩まで揉み込むな」
「とっくに塩漬けミイラが出来ちゃってますよ?」
くっ、営業相手に口では叶わない…いや、何を持ってしても、コイツには叶わないんだけどな。大学サークルからの付き合いがある江口隆太は、3年遅れて入ってきた会社の同僚でもある。大学ではたった一年、まぁ、俺が4回生で就職活動もしてたから、実質両手の数くらいしか旅行研究サークルの部室でも会ってないし、四季に合わせた希望者参加制の旅行も一回しか重なってないんだけどなんか懐かれている。
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