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【どうかきっと、次の恋が良くなるように。】
某コーヒー店の一角。
窓際1番奥のボックス席で、目の前のホットコーヒーから立つ湯気をぼぅっと見つめる。
『待ち合わせで、大事な用があって』とオーダー時に言うと案内された席。
開店とほぼ同時に来たから貸切状態だ。
こんな朝早い時間帯だけど…ちゃんと来てくれるだろうか……
「おはよう、早いね」
「あ、おはようございます」
パッと顔を上げると、同じくホットコーヒー片手に前の席へ座る姿。
スーツとネクタイが違和感なく着こなされてて、もしかして思ったより年上だったかもしれないと今更焦ってくる。
「やはり暗がりで見た時とはだいぶ印象が違うな。
大学生?」
「いえ、社会人です。でも転職活動で第二新卒のカードが使えるくらいには若いですかね」
「成る程。
第二新卒かぁ。もう懐かしいくらいの年齢なんだけど、いいかな」
「はい。寧ろ、こちらも大丈夫ですか?」
「勿論。若いのは大歓迎」
戯けたように言われ、笑いながら姿勢を正す。
先日、ゲイバーで告白された。
会員制のしっかりしたところで、僕はその常連。
この人とは数ヶ月前に知り合い、何度か時間帯が被り話をするようになって、仲良くなってきたと思ったつい矢先のことだった。
『返事は…一旦保留で。
あの、少し話しませんか』
普通と違う特殊な性癖は、同じ者同士出会えるだけでも奇跡。
ゲイはよっぽど特殊なのよりはまだ出会いやすいけど、じゃあノーマルな恋愛と一緒かと問われれば違う。
男同士なんて、所詮身体がなんぼだ。
ヤれるか、ヤれないか。
気持ちいか、気持ちよくないか。
よく見る、男女でハグした時の脳内の違いを描いたイラスト。あれを男×2にしたようなもの。
女性が言う、付き合って得られる心の安らぎや幸福感などは二の次。
とりあえず身体が満足できるか。性欲が満たされるか。
それをクリアできなければ付き合ってる意味がない。
それがゲイ同士の考え方だ。
(この人、びっくりしただろうな)
普通バーであんなこと言われたらホテルに行くのが鉄板。
なのに、まさか『話をしよう』なんて返されるとは。
この人相当面がいいからきっとモテてるはず。
告白も手慣れてたし余裕ある感じだったし。
多分僕のこともちょっと味見というか、手を出してから考えようとか思ってたんだろう。
わざわざこんな時間の呼び出しに来てくれたのも、他と毛色が違うのが気になっただけでーー
(いや、やめやめ)
先ずは話を。
それから、考えよう。
面白そうに見つめてくる瞳を見つめ返しながら、大きく深呼吸して口を開いた。
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