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#1
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「ひさぎお兄ちゃんはすごいね。誰と誰が仲良くなるか絶対当てちゃうんだもん!」
「へへ……すごいだろー」
今では思い出すこともなくなった、幼き日のこと。
俺は物心ついた時から誰と誰が喧嘩しやすいか、誰と誰が仲良くなるのか一瞬で見破ることができた。
相性が悪いと思った二人は最初こそ仲良くなっても、後で必ず衝突する。相性が良いと思った二人は、いずれ必ず深い仲になる。
ただそれはすぐに分かるものではないから、この時は近所の子ども達を対象に予言のようなことをして楽しんでいた。その相手は自分よりずっと歳下の、隣の家に住んでいる男の子。
体が弱くあまり外で遊べなかった自分と一緒で、彼も普段は家の前の日陰で過ごしていた。持病の治療の為、遠くへ引っ越すことになって、それっきり。何ていう子だったか……珍しい名前だったと思うけど、中々思い出せない。
ただ彼といた時間は本当に楽しかったって、それだけは覚えてる。
嬉しそうな顔を見るのが嬉しかった。だから引っ越す前に誰と相性が良いか教えようとしたら、言う前に断られた。
「次に会った時に教えてね。僕、またここに戻ってくる。迎えに行くから」
「う、うん……」
このときある違和感に気付いていたけど、それはやはり言えなかった。
それより俺も。……また絶対、彼に会いたい。
「うん……」
ふいに前が霞んだけど、目元を擦ると頭を撫でられた。
ずっと歳下に心配されてるのが情けないし、同時に申し訳ない。遠くへ引っ越す彼の方が不安なはずで、俺が彼を励まさないといけないのに。
最後まで泣き止まなかったのは俺の方だったな。
とにかく現実から逃げる為に、またお互い元気な姿で会う日を何回も、何十回も想像した。
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