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こんなはずじゃなかった!
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「ずっと、好きだったんだ……! 俺と、その……付き合ってくださいっ」
中学の卒業式。
桜が満開の木の下で、俺は人生初の告白を実行した。
幼稚園の頃からずっと好きだった幼馴染の梨斗(りと)。家も隣で、小中のクラスもずっと一緒だった。
同じ男だったけど、趣味(ゲーム、漫画アニメ)も合うし一緒にいて楽しかった。そして何よりカッコいいし優しい。そんなのがずっと傍にいたら性別なんて関係なく。気付いたら周りの女子(モテてたからな……)と同じように梨斗へ恋心を抱いてしまっていた。
気付いたのは中学入ってからだったけど、ほんとはきっとその前から──。
「あー……ごめん。実は琉依(るい)には言ってなかったんだけど俺、麗(うるは)と付き合ってるんだよね」
「…………え……?」
「じゃぁ、麗待ってるから行くわ」
ザアァと駆け抜ける桜吹雪。
こうして俺の人生初の告白は、三秒も持たずに幕を下ろした。
──────────────────────
「はぁ……」
晴れ渡る雲ひとつない青空。
しかし心は曇り空……。
冒頭のそんな苦い思い出が今日も頭の中でリピートされる。
志望校は落ちたけど、新たな生活、気持ち切り替えて楽しもう! そう決めたのに。結局入学して一ヶ月経とうとしてる今も変わらない。しかも友達もまだ出来ず終い。完璧乗り遅れてしまった……。
学校離れても、まだ忘れられないのは幼馴染と言う宿命だからか……。
まぁ、でも唯一、同じ高校じゃなかっただけ救いなのかもしれない。ほんとは同じ所が良かったけど(付き合ってたらの話)。
卒業式後にあった高校入試。もちろん結果は不合格。ちなみに同じ公立の高凪高校を受けた梨斗と麗は見事に合格。て、言っても梨斗は部活のサッカーでスポーツ推薦だし麗は学力トップで推薦もらってたから。俺より先に決まってたんだけどね……。
だから俺だけ滑り止めで受けたここ、私立星城男子高等学校行きとなったわけで。
しかも男子校だから同中から来てるやつはあんまいない。クラスも知ってる奴いないし。
(……ただ。高校落ちたショックよりも、)
「なんで、黙ってたんだよ。バカ……」
そっちのショックの方が計り知れなかった。
梨斗は幼馴染で、麗は……小学校からの友達。と言うか、親友。梨斗とはそんな接点なかったような気がしたんだけど……。学校や俺の家で遊んでる時にばったり会っても挨拶程度だったし。
(あ、俺が知らなかっただけとか? ……ぁあ、尚更ダメージ強いっ)
麗からは黙っててごめんねと何度も謝られた。
そう言う時って、なぜか謝られた時の方がツラいんだよな……。
しかも、言わなかった理由が『るぅちゃん(俺のあだ名)もりぃくん(梨斗。付き合ってからそう呼び始めた)が好きだと思ったから』。
大正解! と思いながら全力で違うと拒否した。だって気まずくなるの嫌だし、なんか……惨めになりそうで。
「はぁ、可愛いもんな。麗……」
空いてる窓からザァッと暖かい風が入ってくる。
(もう少しで五月か──、)
「さっきから独り言煩いんだけど」
「!?」
えっ!
いきなり隣から聞こえてきた声に、窓側に向けてた体を反対方向に向ける。
と、そこにいたのは眩しいくらいの金髪で。
(うわ、キレー……)
一瞬時が止まったように感じた。
「……は? 小学生?」
その一言が出るまでは。
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