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雨
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sideシド
今朝はいつもより王城の中が少し騒がしい
街も多分騒がしくなっているだろう
___雨が降ったからだ
2年ぶりの雨。
リーズリンドは2年前から急に雨が降らなくなった
他の国も、この国まではひどくないが、格段に降水量が減っていた
水源はすべて雨だ。どこの国もあちこちに貯水湖と水路を張り、雨が降って湖に貯まった水を使って作物を育てる。
雨が降らないというのは致命的だった
食料の半分は作物を占めている
家畜を育てるのにも水は必要になる
雨が降らなければ、水を得られず、作物を育てることはできない
植物もだんだん枯れ始め、国には緑が減った
この2年間、雨が降らなくなり、国民は不作に悩まされ、限られた貯水湖の水を大切に使ってきた
足りない水や食糧は他国との貿易の交渉でなんとか得てきた
それでももう水は底を尽きる寸前まで来ていた
そんな時、ついに雨が降ったのだ。
これはおそらく、いや間違いなくユキの影響だろう。
ユキは昨日突然現れた
それから今日、この国に恵みの雨をもたらしたのだ
精霊の愛し子が富と繁栄をもたらすというのは本当だったらしい
「おいみろ!雨が降ってるぞ!」
「ほんとだ!2年間全く降らなかったのに!」
「ようやく降ってくれた!」
「なんでいきなり降り出したんだ?」
「2年間も降ってなかったのにな」
「ああよかった!これで水不足からやっと解放される!」
団員たちも朝から雨の話でもちきりだ
なぜいきなり降り出したのかという団員の言葉に、夕姫を思い出す
シドは騎士団の団員専用の宿泊棟を出て、執務室で今日の仕事の書類をまとめ、少し早歩きで夕姫のいる王城の来客室に向かった
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