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うわっ!
「……あ」
夢だった。怖い夢を見た。
「……はぁ……はぁぁぁぁ……嫌な夢」
ひとまず今の今まで目の当たりにしていたものが現実ではないことを知り、魂が抜けるようなため息が出た。夢で良かった。同時に夢の内容をほぼ忘れてしまっていることに驚く。思い出そうと時間をかければかけるほど、記憶が深い霧に紛れていくような気がした。それでもいかに自分が夢の中で精神的に追い詰められていたのか、抑えようのない動悸が雄弁に物語っている。断崖絶壁を見下ろしたときのような、はたまた傷口にうごめく蛆を目にしたときのような、絶望と嫌悪感。その衝動をどうしても伝えたくて、上体の向きを変えて同じベッドで寝ている男の体を揺さぶった。折り畳みベッド特有のパイプが軋む音が、悪夢と相まって不気味だった。
「ねえ、ねえ」
彼はすぐに目を覚まし、大丈夫か聞いてきた。
「なんか怖い夢見たみたいで。びっくりしただけ、もう大丈夫。でもこのままじゃ寝付けないと思う」
もっとこっち寄って、と彼は言う。
遠くで日付が変わる音がした。
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