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最後の鬼ごっこ14
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「今日の夕方四時に、俺たちの教室に来い。そこで四時に待ってる。お前が鳴海を諦めるつもりがなければな、四時に来い。もちろん、どうでもいいっていうなら来なくていい。だが、お前が来たら全力で協力しよう」
「それは賭けじゃない。そもそも賭けるものなんて、ないと思いますけど?」
「お前が賭けてなくても、俺と信さんが賭けてるんだよ。信さんが来ない方に200万。俺は来る方に100万ほどな」
心底愉快そうに話す星野さんに、ラブラブカップルのお遊びかと呆れてため息しか出なかった。だが、そんな他人の賭け金なんてどうでもいい。ただ鳴海さんを諦めるか諦めないかの言葉だけが、胸に詰まった。
「あんたが来る方に賭けた根拠はなに?」
「そんなの、誰が一番お前らのそばで見てきたと思ってるんだよ。鳴海も親友だが、お前のことも親友だと思ってるんだぜ。俺は」
今度は、声をもらす番だった。たしかに、あんたには最初のころからお世話になっていたな。
「そんなこといって、将来俺たちをあんたの仕事に巻き込むつもりだろ」
「よくわかったな」
彼は今、笑っているだろう。それは立川に向けるような愛のこもったものではなく、親友同士の打ち解けた笑み。それを思い出すと同時に、今まで姿を思い出すことさえ避けてきた鳴海さんの笑顔が浮かんだ。それだけで、決心も何もない。
こんなたかが色恋ごときで、俺が震えているのはしょうにあわない。心が思うままに、あの人を捕まえよう。
「今から行きますよ」
そうして、小さな機械の通信を切った。
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