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昊 1
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君の生まれた日のことは、曖昧にしか覚えていないけど、俺がなぜこの世にいるのかという意味を、理解した。
君に会えるのを待っていたよ。
俺は、二年待ってやっと君に会えた喜びに、大きな声で泣いてしまったんだ。
「昊、今年も桜が咲き始めたよ。俺が弁当を作るからさ、二人で見に行こうよ…」
青が、ベッドで眠る俺に話しかける。
毎日俺に会いに来てくれていることは、知っている。
そして、いつも俺に話しかけては抱きしめることも知っている。
俺も応えたいとは思うけど、身体が思うように動かない。
担当医が話していた。
脳波に異常はない。
身体の傷も治り、どこも悪い所もない。
なのに意識が戻らないのは、何か精神的な要因があるのだろうって。
わかってる。俺は目を覚ますことが怖い。
起きて青と向き合うことが怖い。
だからごめん…青。
このまま、俺を眠らせて。
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