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—縛りつける事で、何かが変わるとは思ってなかった…
室内にヤスヒコの声が再び響き始めたのは、長い時間が経ってからだった。
—でも、他に方法がわからなくて…
ただ縛り付けて抑え付けて言うことをきかせて…
そしたら、シュウがどんどんあの時と同じ顔になって行った。
俺たちが触れ合う前の世界中がどうでもいいようなあの顔。
いや…もっと酷かったかも知れない。
人形みたいだった。
俺が言うことにただ応えるだけの人形。
それでもいいって思えた時期もあったよ。
人形になれば、俺は結果それを手に入れた事になる。
だけど……
人形は俺を愛してはくれない。
もう不満や不安を口にすることもない。
わかんなくなった。
愛してるのかどうかさえわかんなかった。
そんな時、あの放送に出会って、とてつもなく嫉妬したんだよ。
勝手な予想でしかないけど、俺たちよりも歪んだ関係に思える二人でさえ持っている信頼に…
俺たちの間なら、どの程度の事が許されるのだろう。
こんなことをすれば、流石にシュウも不満を口にするだろうか…俺の事を憎むだろうか…って思った。
だから、酷いこともいっぱいした。
その時になれば「やめて」とか「お願い」とか、やっと自分の気持ちを口にしてくれるシュウが嬉しかった。
だけど、終わればまた元通り、人形に戻って、なんでこんなことするの?って言う疑問さえぶつけて来ない。
どこまで許されるのか試したくなったって言うのもあるし、例え嫌われてもその感情をぶつけて欲しいって気持ちもあって段々エスカレートしていったんだと思う。
それにあの放送が終わったのもでかかったかも?
結局は全部茶番だったんだよ…放送主の歪んだ愛情をあの人が受け入れるまでの茶番。
元から成り立ってた信頼関係。
恋愛とは違うかも知れないけど、元から存在していた依存と愛情。
俺が欲しかった物をただ見せつけられただけだった。
ムカついた。
その放送にか、自分にか、シュウにか…もう何に腹を立ててるのかわからないくらいムカついた。
手に入らないなら、いっそ壊したっていいとも思ってたんだと思う…
だけど、どんなに酷い事したって、やっぱり変わらなくて…
それでも、諦める事も離れることも今更出来なくて…
そしたら、昨日、シュウが初めて自分から求めて来たでしょ?
俺、あの時、マジでキレてた。
今更かよって…
あー、もう壊しちゃおうくらいに思ってたのかも知れない——
元々ヤスヒコにそこまで歪んだ性癖があるわけではないと、シュウヘイは気付いていた。
だったら何故、こんなことをするのかなどの疑問は持たなかったし、そこまでヤスヒコを追い詰めていたのが自分であるなどとは思いもしなかった。
もしシュウヘイが素直に不安を口にしていたら何かが変わっていただろうか。
ヤスヒコの想いとはズレているのかも知れないが—自分はちゃんと要求に応えられているか?—と、確認するだけでも、何かが変わったのだろうか。
「ごめんなさい…」
ここでシュウヘイがやっと口を開いた。
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