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愛撫 -6-
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丸一日に及んだ櫻井の開発作業。
そこから数日過ぎた夜、黒宮はその姿を自室のテレビで確認していた。
拡張された肛門も、顎を前後させながらペニスをしゃぶる動作も、耳を舌で嬲られ切なげに歪む表情も、複数のアングルで映しだされている。
ベッドの上で菓子をつまみながら眺める黒宮の隣で、武上は手を後ろで組んで佇んでいた。
「よくこんな数のカメラ取りつけるヒマあったね」
「櫻井の入浴時間が長かったため、また、一度寝ついた櫻井が多少音を出しても起きなかったためです」
「まぁ順調でいいんじゃない。他に報告は?」
「彼の私物を撮影しました。画面を切り替えます」
武上がリモコンを取り操作すると、櫻井の書棚の全体図、その後に背表紙1つ1つのタイトルが見える近さの画像が複数枚流れた。
「音楽雑誌と経済誌のストックが1割程度、それらをスクラップしたものが3割、残りのほとんどはCDとライブ映像です」
「勉強熱心なこった。エロ本は無かったの?」
「申し訳ありませんが、この書棚を含め探した限り見つかっておりません。次に衣類です」
クローゼットを開いた写真、パンツや肌着、靴下がごちゃごちゃに入れられた衣装ケースの写真が続く。
「きたねぇな」
「上段に掛けられている衣服はほとんどスーツとワイシャツです。下段衣装ケースの中にはTシャツが2,3枚、ジャージパンツが1枚紛れ込んでいました。休日はそれらを着て買い物に出かけていることを確認しています」
「……それってさぁ」
黒宮は微かに眉間に皺を寄せた。
「自身の服装にまったく興味がないと考えてよいかと思われます」
「だよね。あいつさ、音楽以外に趣味ありそうなの?」
「パソコンを調べましたが、肛門の愛撫に関する記事の閲覧履歴がありました」
「それがあいつの趣味だと思う?」
「いいえ」
黒宮は武上の方を振り返った。
「いいよ、結論を言って」
「彼の生活には仕事と、最低限生きるに必要なもの以外は見受けられません」
「仕事だけで生活を満たしていたいってか」
「しかし、そのことを加味しても異様な点があります」
その言葉とともに、画面が冷蔵庫を開いた写真に切り替わった。野菜や肉類、栄養ドリンク等で適度に満たされている様子だ。
「あれ、料理とかは割とするんだ」
「そうと仮定するには、彼のキッチンはあまりにも不自然です」
「は?」
武上の操作で写真が移る。フライパンにフライ返し、サラダ油、それになぜかスティックシュガーが詰められた袋が並べられていた。
「何これ」
「櫻井の家にあった調理器具と調味料類、すべてです」
画面に戻されていた視線が黒宮の視線が、再び武上に移る。その瞳は普段よりも幾分丸く見開かれていた。
「スティックシュガーは未開封です。冷蔵庫内のボトルコーヒーは開けられていましたが、未開封のインスタントコーヒーも見つかっています。
また6枚切りの食パンもありましたが、バターやジャムはありませんでした。菓子及び酒類は一切ありません」
黒宮は画面を見つめてしばし黙り込んだ。右手は考え込むときにいつもそうするように、中指の腹を下唇に当てている。
「お前が泊まった時、食事はどうした?」
「1日目の夜は何も食べていません。2日目は櫻井に食事の選択を委ねたところ、コンビニでグリーンサラダと鮭のにぎり飯を買い、それで朝食と昼食をまとめました。
夜は一泊の礼を兼ねて俺から外食の申し出をしましたが、櫻井は牛丼屋を希望しました。頼んだものはトッピングを付けない牛丼の大盛りです」
「極度の薄味派ってわけでもなさそうだね」
武上は頷いた。
「夕食の場で普段の食生活についてうかがったところ、接待やpink motor poolの2人との食事がない場合は家で作っている、体にガタが来ない程度には栄養に気を遣っている旨を答えました」
「好きな食べ物は聞いた?」
「はい、牛丼と答えました」
黒宮はとうとう返す言葉を失い、苦々しい顔で画面を睨んだ。
「……ふふっ。くくく、ハハハハハ……」
そうかと思えば、急に笑い出す。武上はそれを黙って見ていた。
「ここに来てますます分からなくなってきた、やっぱりあいつは頭がおかしいよ。でもあの行動力はやっぱり、欲しいね」
「現在の櫻井でも、肉体的な仕上げにはすぐに取りかかれる状態になっております」
「いーや。あいつが焦れるか、じゃなければお前の方に気が移るくらいまで粘ろう。その気がなければいつまででも遊んでやれ」
「かしこまりました」
武上の手でテレビ画面が消される。
「それでは、俺は本日は失礼します」
「お疲れ。……あ、待って、1個気になった」
「なんでしょうか」
「牛丼が好きっていう理由は?」
「貧乏時代の思い出の味と言っておりました」
「ふーん……やっぱ分かんねぇ。いいや、お疲れ」
武上は一礼して部屋を出ていった。
「思い出の味ねぇ」
武上がベッド脇のサイドテーブルに置いていったリモコン。黒宮はそれをいじり映像画面に切り替えた。
バックグラウンドで再生は続けられていたらしく、画面の中の櫻井は武上の亀頭を舐めまわしている最中である。
その姿を見ながら黒宮は首を傾げた。
「ほんとに味なんか分かってんだか」
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