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本音 -5-
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「今日はもう、諦めます……俺が出ると、余計話がややこしくなりそうですから」
櫻井はおかしいと思いながらも、自分の口からついて出る言葉を途中でつぐむことも、改めることもできなかった。
「ま、そうだよねぇ」
黒宮は予定調和だとでもいうようにほくそ笑んだ。
彼の手は櫻井の腰に移り、身体の向きを変えようと力を加えてくる。櫻井はそれに従い、仰向けからうつ伏せへと姿勢を移した。
今の体勢になって、これからされることへの期待を感じている自分を、不甲斐なく思う。
なぜここで振り切って、外に出られなかった。
黒宮の言う通りに腹を割った今、彼との関係の最終調整が必要とは言える。しかし、本音はおそらく……
「あっ……」
尻の中に押し入ってくるものがある。うつ伏せのまま考え込んでいたせいで、その瞬間まで気づけなかった。
上体を起こし後ろを振り向くと、黒宮の指が丁度愛撫の動きを始めた。
「もっと尻突き出して」
櫻井は無言で頷くと、膝を立てて、尻の位置を高くした。指は奥まで入り、乱暴なくらいの動きで中を掻き回す。
「っつ……あ、あぁ……」
痛みに近い刺激だけれども、昨晩のこともあって中が傷付くほどではない。
そう……こうして愛撫を受けていると、責め苦のような快楽を思い起こして、それだけで頭が霞がかる。
生きているのかも忘れさせてくれるほどの快楽。
櫻井はそれに危険を感じていた。あの絶頂の中にいるときは、自分がこんなことをしている目的さえも見失ってしまいそうになる。
櫻井の頭に拘束具だらけの香月がよぎった。その香月の姿に、自分の影が重なる。
ああなってはおしまいだ、あれだけは避けなければ。
「ボーっとしてんなよ」
「あっ……!」
黒宮の声と、昨日散々に嬲られた箇所への刺激で、櫻井は我に返った。
「そこはっ、やめてくださいっ……!」
「嫌なの?昨日は随分と悦んでたみたいだけど」
「それが怖いんです……」
黒宮は「ふーん」と頷くと、指を抜いた。
「怖い、ね」
熱い息を吐き出す櫻井の唇を、下の口を弄んでいた指がなぞった。
嬉しそうな表情……黒宮は自分の怯える様を楽しんでいるようだった。
「起きて」
櫻井はその声に身体を起こした。足を床に投げ出してベッドの縁に座る黒宮が、ジッパーを下ろして半起ちのそれを晒している。
「舐めて」
「……はい」
櫻井は黒宮の前に跪いた。
儀式的なこの行為も、櫻井の不安を掻きたてる。
自分が被支配的な立場にあるのは今までだって同じのはずだ。
おそらく変わったのは、その立場に飲まれそうになっている、自分。
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