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崩壊 -10-
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「遅くなりました」
武上が黒宮の部屋に戻った時、テレビには再び櫻井の身体が映し出されていた。
「本当に遅かったな」
黒宮はコンピューターの前に立って、ディスプレイに映された動画を眺めていた。
再び点けられていたテレビの画面、そこに嵌め込まれた動画もまったく同じ動きをしている。今は黒宮のペニスをしゃぶっている場面だ。
「よくもまぁ騙されてくれたもんだ」
キーボードの操作数回で、テレビの画面に映っていた映像が消えた。画面はうっすらと黒い光を放っている。
「櫻井の様子はどうだった?」
「車内ではだいぶ落ち着いていました。俺はまだ、不十分と考えます」
「不十分?」
黒宮の顔が武上に向いた。
「櫻井の支柱は完全に折れてはおりません」
「……あの様子を見てそう言うか?」
「現状では、pink motor poolの活動持続は保証されています」
「でも、アレももう櫻井のものでは無くなる」
「彼らの存在が守られる限り、拠り所は失われません」
「…………」
黒宮は小さく舌打ちを鳴らし、机に対してカタカタと小刻みに爪を立てた。
「それを担保にこっちで働かせんだ、あいつらを完全に無くしたら櫻井もいよいよポンコツだろ」
「しかし、あなたが支柱として完全にpink motor poolに取って代わることはできなくなります」
「今日は随分と口答えするなぁ?」
黒宮の荒い声にも、武上は調子を変えず「申し訳ありません」と答えた。
「櫻井も大事に育てたあいつらとは切り離されて、俺に従うしかない。やり方はどうとでもなる。お前が余計なことを考えなくていい」
「かしこまりました。出過ぎた発言をしましたこと、お許しください」
「悪いとも思ってないくせに謝んじゃねえ」
悪態を吐きながら、つい握っていたマウスを武上に投げつけた。
顔の真正面に飛んできたそれを武上は無言のまま顔面で受けながらも、跳ね返り落ちそうなところを両手で受け止め、そっと黒宮の手元に返した。
「……用が済んだなら早く帰ったら?」
武上が何の反応も返さないことにシビレを切らし、黒宮は低く声を上げた。
「はい。本日は失礼いたします」
武上は頭を下げると、部屋の扉を静かに閉じていった。部屋に再び、櫻井の喘ぎ声と肌のぶつかる音だけが響き始めた。
黒宮は白けた様子でそれも閉じ、テレビもコンピューターも電源を落としてベッドにドサッと倒れた。
液晶の光が無くなって、カーテン越しに外の薄明かりが部屋に入るだけとなった。少し首を振ると、クローゼット扉の鏡に、自分を睨みつける自分が映った。
「どいつもこいつもっ……」
落とした拳の衝撃は、柔らかなベッドにすべて吸収された。
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