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現実 -2-
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シングルとツインでフロアが分けられていない限り、スタッフは同じフロアに集められる。
木田と前島の部屋は大体隣合わないようにスタッフを間に入れる。櫻井が1人部屋の日は、必ずそこに当てられるのだ。
櫻井は1人でベッドに横たわり、長い長いため息を吐きだした。耳は2時間の爆音でバカになって、キンキンとやかましい耳鳴りに響いている。
今日も公演の方は上々だった、それは櫻井にとっても何よりの喜びであり、ライブが終わった直後はそれで胸がいっぱいになる。
しかし部屋に入って少し仕事のモードが切れ、そこからこみ上げてくるものが厄介だった。
熱くてむず痒く、ネットリと身体中に絡みつくような衝動。
櫻井は身体を起こして汗ばんだツアーTシャツを脱いだ。焦るようにしてつっかえながらベルトを外し、ズボンも下ろす。
ボクサー一枚になると、既に膨らんだその形がありありと布越しに浮かんでいた。視覚からの情報は櫻井に、更なる自己嫌悪と興奮を覚えさせる。
服を脱ぐ際に舞った自らの汗のにおいさえ、いやらしく鼻をくすぐってくる。下着の中で脈打つように性器がヒクンと震えた。
櫻井は逃げ込むように浴室へと入った。元々今夜はこの衝動を抑える気はなかった。
ここ数日相部屋が続いていたし、明日もスタッフと一緒の部屋だ。1人、誰にも構うことなく性欲を解消できるチャンスが、このツアーでは少ない。
少し前ならチャンスなど必要なく、相部屋も難なく乗り切れたのだろうに。
シャワーを全開までひねれば、浴室中に水の撥ねる音が響き渡る。身体も痛いほどに打たれて、軽い滝行のようだ。
それでも興奮は冷めやらない、いつもそうだ。
先端から皮をゆっくりと引きずりおろして、筋をくすぐるように引っ掻く。血も感覚も、そこに集中されていく。
普通に呼吸が出来なくなった頃に、櫻井はサオを手に掴んで扱き始めた。
「ぁ……」
空いた片腕を前に上げて、櫻井は壁に体重を預け快感に目を閉じた。さっさと果てて終わらせてしまいたい……建前の気持ちが自分に見栄を張る。
しかしいつだって、この身体を操るのは欲望の方だ。
櫻井は誰にともなくねだるように、唇をぺろりと舐めた。手に包んだペニスが固く張りつめるほど、身体が熱くなるほどに、足りなくなってくる。
上も、下も、もの欲しくなる。
櫻井は屈したように跪いた。身体の支えから自由になった手は口元に運ばれて、その舌でねっとりと舐めあげられた。
「ん……ふ……」
熱い息を浴びながら、枝に絡みついてくる蛇のような舌に、指先から付け根の間まで執拗に舐められる。舌を動かす自分とそれに嬲られる自分が別物になったような、妙な気分を味わっていた。
自分自身を責め立ててくる自分の存在に、物足りなさを感じているアナルがヒクヒクと欲情している。
欲しい、あそこに欲しい……
欲求に抗えなくなるほどに、姿勢まで淫らになっていく。ペニスを包んでいた手を床へと突いて、櫻井は四つん這いになった。唾液の絡みついた指は、持ち上げられた尻へと向かう。
「あ……」
一本の指が飲みこまれていく。櫻井はそのままもう一本指をねじ込ませ、それも難なく中へと進んでいった。奥まで指をうずめてから、指先だけを動かすように……
「はぁ、あぁ……」
注意深く声を上げながらも、指先は焦って責め立てている。腹の底の方にジワジワと熱が滲んできた。
気持ちいい。
細かく指を動かして、内側の肉を刺激する感覚に櫻井は酔っていた。
でも、これもいいけど、本当は違う。
「んっ、う、んん、あぁっ」
フラッシュバックする、2人の男の影。彼らに身体を委ねて、弄ばれた記憶は、脳にも身体にも刻み込まれている。口に溜まった唾液が溢れだしそうになる。
アレが欲しい。
あの匂い立つ熱気を鼻先で感じて、だぶついた袋に顔をうずめてタマまで頬張りたい。パンパンになった先っぽをなめしゃぶりたい。それがココを犯すんだ。もっと、奥までいっぱいに、激しく……
狭いバスタブの中、櫻井は身体を返して背中をバスタブに預け、両手で局部を撫でくり回しだした。頭上から降り注ぐ飛沫が胸を打つのも気にならない。
ただひたすら、それこそ犯すみたいにして、ペニスもアナルも弄りまわしている。
中を犯す指の感覚から、痛いほどに穿たれたあの感覚を呼び戻す。そう、一突きごとに身体も頭も壊されるんじゃないかって……
「はぁっ、ああ、イ、イク、イク……」
代用でも慰めでも、そこまでは達せられるのがまだ救いだろうか。
「あっ……!!」
ペニスが脈打って、精液が溢れ出る。身体を震わして絶頂を味わいながら、手は射精を続けるペニスを緩く扱いた。
出し終わって、両手をペタンとバスタブの底に下ろし、櫻井はしばらく水しぶきをボンヤリ感じていた。シャワーの音もにわかにうるさく感じられる。
足も開いたまま呆然と風呂の中に寝そべるその姿は、さぞや間抜けなことだろう。
思い立ったように櫻井は立ち上がって、シャワーを弱めてから下半身を洗い出した。
とりあえずの解消はなされたが、消化不良感はどうしたって拭えない。
男が欲しい。
彼らとの関係が途絶えてなお、櫻井の身体は調教済みの仕様のままであった。
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