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終 (3P)
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決まりが悪くなって、視線を逸らしながら櫻井はそう呟いた。
「…………」
黒宮は鼻から大きくため息を吐きながら、またベッドに横たわった。
「言ってなかったけどさぁ、俺、そこまでセックスって好きじゃないんだよね。お前みたいにハマりすぎたやつ散々見て相手してってなると、なんか冷めちゃって」
黒宮の口調は先ほどよりも早口に、そしてぶっきらぼうになった。
「それは……香月さんを見ちゃうと、ちょっと分かりますけど」
「今はお前だって一緒だバカ。そもそもそれでまた俺のところに来るって本当バカかよ、またビデオ撮るぞ」
「それで、イーブンですかね」
「イーブンでもねえよ、俺は自分の映像が漏れたって握りつぶして終わりだよ」
「あんた本当たくましいですね……」
会話がそこで途切れた。
結局あの映像も通用しないとなれば、櫻井にはもう打つ手は無い。
そもそもゆするなんて、黒宮の口から出てきたからつい乗ってしまっただけで、そんな気でいたわけではない。
それよりも櫻井は、ただ欲求に飲まれ失いかけていた自我が戻っていることに、少し安堵の気持ちに浸っていたいところだった。
「で、してくの?」
その気持ちをピシャリとはねつけるように言い放たれた一言。シビレを切らしたようにぶっきらぼうに言い放つ黒宮に対し、櫻井は固まってしばらく言葉を返せなかった。
「…………えっと、どうしましょうね。さすがに、また撮られるんだったら、ちょっと」
「撮らねえっての。……いいよ別に」
「あ」
寝そべったままの黒宮が伸ばした腕に捕らわれ、櫻井は黒宮の身体の上に乗せられた。
「ん……」
そのまま頭を引き寄せられて、唇が触れあう。
「ん、あ……」
こんなにすぐに、気分が切り替わるなんて。すぐさまノイズに侵され出した理性が、反射行動のように自分の状況を俯瞰視した。
それでも舌を伸ばされれば絡ませ合うし、徐々に体重を黒宮に預け、身体をくねらせ始めることまでは、止められなかった。
櫻井が早々に夢中になり始める中で、黒宮は櫻井とのキスを続けたまま、その頭越しに武上を睨んだ。その視線に気付いた武上は、したり顔でニヤリと笑う。
黒宮は一瞬眉間に皺を寄せたが、それきり武上からはそっぽを向いて、櫻井の身体を抱きしめた。
「んっ……!」
抱擁は櫻井の身体を、思った以上にたきつけた。櫻井からも腕を回し、黒宮の身体を挟むように足を開いた。
櫻井は自分を見下ろす男を、うっとりと見つめていた。こうして男を見上げる角度になると、犯されることへの期待が高まってしまう。
その時、今こうして自分のことだけを見つめている櫻井のことを、黒宮もまた見ていた。
ついさっきまで距離を置いた口調で会話をしていたはずの男が、今は娼婦のような眼差しでこちらを見やる。大した切り替えようだ。
ただ自分だけを見つめるその眼差しに、この男が自分のものになったような錯覚を抱いてしまう。
してやられた。
pmpといるとき、自分と向き合う時、ベッドの上にいる時……櫻井は幾度も豹変する。
自分のものにならないまま、自分のものに……。今回、自分は負けを認めるのが早すぎてしまったようだ。いささかの不服を感じながら、ジッパーを下ろし始めた。
櫻井も起き上がり、上も下も脱ぎ捨てる。それを武上が拾い上げ、1つ1つ丁寧にハンガーにかけていった。
全裸になった櫻井は、視線の照準を黒宮の半立ち状態のペニスに合わせた。それに気付いた黒宮は足を投げ出してベッドに尻をつく。
櫻井は許しを得たとばかりにその前に跪いて、頭を垂れた。手の中にそれを包んでから先端を咥え込むと、皮をゆっくりと引きずりおろした。
自分からそれを喉の奥まで滑り込ませる。吐き気を覚えるギリギリまで飲みこんで、その位置を覚えてから、唇でサオを扱いていく。段々と亀頭が喉に当たってくる苦しさも、余計に身体を興奮させるばかりであった。
また本当に、この前の二の舞になるだろうか。
頭の端を不安が掠めたが、櫻井はそれを深刻視していなかった。
既に手遅れだという諦めもある。その上で、しばらくはこのまま関係が拮抗していくだろうと、楽観的な予感も持っている。
今まで見てきた黒宮と、今の黒宮の表情が、それを予感させてくる。
構わないと思った。この男、この部屋で以て消化されるのが、自分の欲求にはお似合いだ。
「ん……」
十分に大きくなってきたと櫻井が思ったところで、黒宮の方から頭を押さえてきた。口から出てきたペニスがブルンと上を向くさまを眺めた後で、櫻井は黒宮の股間に跨った。
「入るの?」
櫻井の次の行動を呼んだ黒宮が先行して尋ねる。
「大丈夫だと思います、もう、ん……」
櫻井の言葉に、ここに来るまでにも何かあったのかと、黒宮は再度武上を睨んだ。武上は先ほどとは違い、仕事の時の仏頂面で知らぬふりをしている。
櫻井は無言の駆け引きにも気付かず、待ち望んだモノが待ち望んだ場所に当たる感覚に酔いしれていた。
「あぁっ……!」
この空間の空気全体が癪に触った黒宮は、その矛先を櫻井へと向けた。櫻井がゆっくりと自分のペニスを受け入れようとしていたところで、腰を上げて無理やりに貫いた。
その瞬間こそ櫻井は苦しげに顔を歪めたが、黒宮が腰をベッドに落ち付かせたのに合わせて、櫻井も腰を落とした。
「ああぁぁ……」
奥深くで繋がると、櫻井は艶めかしく唇を開く。そして自分から、それに肉壁を擦り付けるように腰を揺らし始めた。
「はぁっ……あぁ、あっ……ん……イイ……」
鼻にかかった声で、櫻井は我も忘れたように喘ぐ。
「ん……っ……」
「あぁっ!はぁ、あぁ……」
黒宮が下から突き上げると、櫻井はビクビクと震えながら中のモノに吸いついた。
その感覚に黒宮も歯を噛み締め、腰を上下に揺さぶっていった。櫻井の喘ぎも、動きも、ますます淫らなものになっていく。
「……あー、やっぱダメだ。俺も我慢がきかねぇや」
傍観を決めていたはずの武上が前を開きながら近づいてくるのに、櫻井と黒宮が同時に目を向けた。
「いやいや俺なんか気にしないで、続けて続けて!是非ともあんたら2人で勝手にやってくれ」
櫻井の目の前でペニスを晒し、武上は自分でそれを扱き始めた。
「ふ、ん……んぁ、んん……」
櫻井は腰を振りながらも、武上の手淫で揺れているペニスに向かって舌を尖らせ、その先をチロチロと舐め出した。
「……楽しそうだな、お前」
「あっ、あああっ!」
起き上がった黒宮に耳たぶを舐められ、櫻井は悲鳴みたいに喘ぐ。
「あぁっ、それ、だめ、ぅぅぅっ……!」
快感に耐え凌ぐのに、櫻井は黒宮にしがみつくように抱きついた。身体の繋がりは余計に深くなって、櫻井はなおも腰を揺すり黒宮を貪っていく。
こんな姿と欲望を晒した後でも、服を着た後で櫻井がいつもの顔に戻るのか、黒宮は少しだけ不安を覚えた。
それでも止められないのは、もはや黒宮も同じことだった。進んでするのは好きでないといっても、絶頂が近くなれば本能に従うままになる。
「ああぁっ……アッ、ハッ、も、もう……っ!」
身体の間で擦れていたペニスを扱いてやると、櫻井は訴えるように眉を垂れさせて黒宮を見つめてみた。
「いいよ、イケよっ……!」
黒宮もラストスパートと、遠慮なしに腰をガンガンと揺すった。
「あっ!あ、あっイク、もうっ、イク、イク、……あぁっ!」
「は、ぁっ……!!」
櫻井のペニスが2人の身体の間で精液を弾けさせるなか、黒宮も櫻井のナカにドクドクと流し込んだ。
「あ、あぁ……」
黒宮のペニスが脈打つごとに櫻井は腰をくねらせ、その迸りが奥に注ぎ込まれることを望んだ。
「っ……ぁ、でるっ……!」
遅れて、武上が自分の手で絶頂にまで至ったのを、櫻井の顔面に押し当てた。
「んっ……んぐ、んん……」
櫻井は目を閉じ、少しの間それを顔面に受けていたが、我慢できないとでも言うように残滓を滴らせるそれを口に咥えた。
自分の身体の中で、上から下から精液が通っているのを意識して、櫻井は胸から腹にかけてをゆっくりと掌で撫でた。
黒宮が長いため息を吐きだし、武上のペニスも口から放された。櫻井はボンヤリと黒宮の顔に視線を移した後、黒宮のしたように長い溜息を吐きだした。
黒宮は、その時の櫻井の顔を下から見上げていた。
精液で顔を汚しながら、櫻井は目を細めてこちらを見下ろし、わずかに微笑んでいた。
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