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傍に居る理由。
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「ッ、あ…、命さん…っ!ちょっとまっ…」
社長室を飛び出した命は
誰も居ない廊下を洋一の手を引きながらひた走る
「命さんっ!」
洋一が思わず走り続ける命に向かって大声で名前を呼ぶ
すると――
「があッ!」
「ッ!?」
前を走っていた命が急に洋一の方へと振り向き…
洋一の両肩をガシッと掴むと――
そのまま廊下の壁にドンッ!と洋一の身体を背中から押し付け…
「い”…ッ、」
壁に背中を強くぶつけ…
その衝撃で洋一の呼吸は一瞬詰まり
堪らず洋一の口から呻き声が上がる…
「あ…命さ…」
「う”ぅッ…、フーッ…フーッ…うぐう”ぅ…ッ!」
洋一を壁に押さえつけたまま苦し気に呻く命に
洋一が恐る恐る顔を上げ、心配そうに命の顔を覗き込もうとした瞬間
「見るな”ぁッ!」
「ッ!」
バンッ!!――と、命が洋一を挟むようにして後ろの壁を両手で叩き…
顔を伏せ、フーフーと苦し気に呼吸を荒げながら
後ろの壁をギチギチと爪で引っかくと…
まるで何かに耐えるように俯いたまま――
命はその姿勢から動こうとしなくて…
「あ…きら……さん…?」
洋一が苦し気に呼吸を乱す命の様子に
堪らずその手を俯いている命の顔に向け――
そっと伸ばそうとしたその時…
「……ッ!」
俯いていた命が突然バッと顔を上げ――
無言でその視線を洋一に向けると…
その瞳の瞳孔は開ききり…
まるで人の目とは思え無いほどに、金色に輝いていて――
「あ…」
―――綺麗…
洋一がその瞳に見惚れ――
食い入る様に命の瞳を見つめていたその時
不意に命の顔が、詰め寄る様にして洋一の顔にグッと近づき…
「ッ?!」
ソレに驚いて焦った洋一は思わず身を引き、その場から逃げようとするが――
自分を挟むようにして壁に手を突く命の両腕に左右を阻まれ
それも叶わず…
洋一はこの状況に戸惑い
おずおずと怯えた様な視線を命に向ける…
すると命は更にその顔を洋一に近づけ
そのまま自身の唇を、洋一の唇に重ねてきて――
「――ッ!?んぅっ?!」
突然の出来事に洋一は驚き…
咄嗟に命の胸を押し、その顔を引き離そうとするが
洋一の唇を塞ぐ命はビクともせず…
「んっ…、ンぶ…ンッ、、はっ…、あきらさ…ッ、ン”ぅ…、」
命の手が、逃げようとする洋一の後頭部をガッチリと押え込み
気づけば洋一は命に抱きすくめられる形でその唇を貪り食われ…
「ふっ…ぅ、、んぐ…ン、ぅっ…、…」
まるで生き物のように蠢く命の舌が
逃げ惑う洋一の舌を追い、口内を激しく動き回り…
洋一の口の端からは飲み込み切れずに溢れ出た2人分の唾液が混じり合いながら
洋一の首筋を伝い、流れ落ちていく…
「ンぁ…、ンッ……ンぅ…」
やがて力が抜け始めた洋一の両手が
とにかく縋るものを求めて命の背中にギュッとしがみ付き…
2人の身体はより密着しながら
命はその唇の角度を変え、より深く洋一の唇と重ね合わせ…
「ふン……ンッ…、…あふ……ぅ、」
いつしか逃げ回っていた洋一の舌は逃げるのを止め
それを見計らったかのように命の舌が洋一の舌を絡め取り…
誰も居ない薄暗い廊下には、荒く重なり合う2人の息遣いと――
ピチャピチャと小さく濡れた音が静かな空間に妙に大きく響き渡り…
この状況に
いよいよ洋一も僅かに残っていた理性を手放しかけたその時
「――!ぐッ……うぅ…ッ、」
命の手が急にガシッと洋一の両肩を掴むと
命の唇が洋一の唇から透明な糸を引きながら離れ…
「…?」
急に離れた命に洋一が頬を上気させ…
呼吸を荒げながら蕩け切った表情で命の事を不思議そうに見つめる
すると命が洋一の肩を掴んだまま俯き…
消え入りそうな声で言葉を発し…
「ッ…すまない…、」
洋一にかけた謝罪の言葉は震え…
表情は見えないが、どこか泣いている様にも思える命のその様子に
洋一は微かにその瞳を細めると…
躊躇いがちにその口を開いた
「――落ち着きましたか…?」
「………え…?」
穏やかな声で洋一からそう聞かれ…
命が俯いていた顔を恐る恐る上げると
そこには不安と心配がが入り混じった表情(かお)で
自分の事を見つめてくる洋一の姿があり…
「もう……大丈夫――ですか…?」
洋一の手がそっと命の頬に触れ…
命がその手に自分の手を重ねながら先ほまでの猛った瞳とは打って変わって
穏やかな瞳で洋一を見つめ返すと…
胸の奥底からこみ上げてくる暖かい何か感じながらその口を開いた
「ッ…ああ……大丈夫だ…」
「なら良かった…!」
それを聞いた洋一が、はにかみながら安堵の笑みを浮かべる
「俺は――“この為”に貴方に秘書として雇われたのだから…
だから貴方は気にしないで下さい……謝らないで。」
「…ッ!」
その言葉を聞き…
命が泣きそうな顔をしながら洋一の事を抱き寄せる
「命さん…?」
「ッ、本当に……すまない…っ!」
「………」
命は洋一の事を強く抱きしめ…
洋一はそんな命の様子に少し呆れたような笑みを浮かべると――
慰める様に命の背中を軽くポンポンと叩きながら…
2人は暫くの間
誰も居ない廊下でただ無言のまま抱きしめあった…
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