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頼まれてた買い出しを届けるため
1度家に帰った。
「友達に会ったから
少し遊んでくる。」
そう伝えると
お母さんは嬉しそうに笑って見送ってくれた。
母親は凄いな。
きっとお見通しなんだろう。
外にでたくない…
誰とも会いたくない…
そんな僕の強がりを。
「お待たせ。」
「じゃ、いこっか。」
そう言ってハチが向かおうとしてるのは
とあるカフェBAR。
昼間も夜もマスター1人で営業してる。
いつ寝てるのか謎なマスターがいるお店。
が、そこには…
足が重く進まない。
「大丈夫。アイツは居ないよ。」
そう言われると少し足は軽くなった。
「…お久しぶりです。遥(はるか)さん。」
「いらっしゃい。お久しぶりですね。」
マスターの名前は遥さん。
年齢は不詳。
名前も本名かはわからない。
みんながそう呼ぶから僕も呼ぶ。
本当に謎が多い人だ。
「いつものでよろしいですか?」
「!…はい。」
もう1年も前なのに
覚えてくれている遥さん。
ホントになんでも覚えていて
記憶力は凄まじい。
1年前、ここにはよく通っていた。
お店の名前はblack cat。
黒猫が横切ると不吉なことが起こる。
黒猫は魔女の使い。
そんな良くないイメージの黒猫は
実は幸福を与える存在
そうなってほしいと願ってこの名前らしい。
ここはその通り
たくさんの幸福を与えてくれていた。
ここで過ごした日々は
本当に楽しくて幸せだった。
「お待たせ致しました。」
そう言って出されたいちごミルク。
僕がここに来ると頼む飲み物。
元々はBARのみの営業で
僕も夜に連れてこられたけど
未成年で飲めないからと
特別に用意してもらったいちごミルク。
ガキくせぇ。と笑われたが
お前らしくていいとも笑われた。
僕が気軽に来れるようにと
カフェ営業も始めたと聞いたが
通えたのは半年程で1年も空いてしまった。
懐かしむように笑いながら
いちごミルクを口にした。
「あの方はよく夜に尋ねてきますが
この時間は来ないのでご安心ください。」
遥さんも僕の不安を気づいてくれた。
遥さんには何も言わなくてもお見通しで
隠し事はできない。
すぐにバレてしまうから。
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