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見事ゴールをした僕ら。
志生が僕を降ろす。
「やりすぎ…」
恥ずかしくなって
小声で志生にそう言うと
「変な虫がつかないようにな。」
そう言って志生の大きな手が
僕の頭を撫でた。
この手が好きだ。
乱暴そうに見えて優しく
割れ物を扱うようなこの手が好き。
チラッと志生の後方で見えた
生徒会席では
悲しそうな顔をするくま先輩と柊先輩。
少し驚いた顔の副会長。
会長は…気にも止めてないようだ。
くま先輩と柊先輩と副会長は
きっとこのお題を知っている。
くま先輩と柊先輩は
あらかた自分が選ばれると思ったのだろうか。
そして副会長は2人のどちらを
選ぶのか、期待していたのだろう。
そこに外部が
しかもお姫様だっこで登場。
驚きもするか…。
<そんな橘くんのお題は
"大切な人"
橘くんにとって彼はどんな人ですか?>
興奮気味のアナウンス。
マイクを向けられたので答える。
「そのまんま。大切な人です。
他にも大切な人は沢山居ます。」
ハチや青空や雪。
遥さんも両親も。
他にもって言葉に目を輝かせてる
くま先輩や柊先輩も…少しは大切。
1人なんて選べない。
…でも。
「僕にとって"これからも"
大切にしたくて、大切にされたいのは
この人だけなので。」
ふっ…と小さく笑う志生。
その笑顔があの頃のまんまで
少し泣きそうになる。
あえて僕がマイクで話すとき
志生の名前を呼ばなかったのは
仕返しだ。
変な虫がつかないようにね。
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