アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
54
-
話が終わったちょうどその時。
「鴇也様…。私も少々橘くんをお借りしてもよろしいでしょうか。」
仮眠室から出てきた副会長。
鴇也様…。
会長ではなく…。
会長とも話が終わったので
副会長の仮眠室に招かれた。
「どうぞ。」
声は優しいのに
顔は冷たい。
僕は副会長に何かしただろうか。
カチャン。
扉が閉まると副会長から
すぐ言葉が降ってきた。
「次は会長ですか?」
次?
意味がわからず振り返ると
酷く冷たい視線の副会長と目が合った。
「書記、会計、と来て…会長もですか。」
「なにを…?」
「あなたには腹が立つんです!」
珍しく声を荒らげる副会長。
「あなたの周りは恵まれている。
色んな人が手を貸し、甘やかしていて…
なのに何故あなたはそれを突き放すんです?」
なんでって…。
「別に望んでないです。」
手を貸してとも
甘やかしてとも言っていない。
「みんな勝手に寄ってきて
大切な人なんて要らないのに…」
「そうやって悲劇のヒロインですか!
あなたは選べるのに…自由なのに…。」
苦痛そうな表情を浮かべる副会長。
「選べるからです。
自由だからです。
これが僕の選択です。」
「大切な人を作れる環境なのに…何故!」
「何が分かんだよ!!!!」
思わず声を張り上げてしまった。
仮眠室の扉の先は会長がいる談話室だ。
多少の防音があるにしろ
流石に会長にも聞こえてるかもしれない。
それでも止められなかった。
「なんだよ、みんなして大切な人大切な人って!
なんでダメなんだよ!大切な人を作らないってことが!
俺だって居るよ!大切な人は!!
…でもこれ以上は要らないんだよ……。」
泣きそうになる。
でも泣いちゃダメだ。
僕に泣く資格もないし
この人の前で見せる涙じゃない。
「何故そこまで…」
「あんたはさ、大切な人作って
失ったことあるか?」
副会長とか
この際もうどうでもいい。
「…そもそも私は大切な人を
作ってはいけませんでしたから。」
ベッドに腰掛けた副会長は
静かに話始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
55 / 105