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「この怪我はあの女が悪い。
那央は悪くねぇんだ……。」
奏斗に、自分に言い聞かせるように話す志生。
「だったらなんで湊音の傍から離れたんだ?」
少し怒り混じりの徹が志生に問う。
「俺はあの女を許せないけど
この傷は那央を守った証なんだ。
この傷が俺に無いって事は那央に傷が出来てた。
そんなの俺は耐えらんねぇ……。
だから今の技術では傷跡が目立たないように
出来るらしいが俺は残していたい。
でも、あいつは悲しむんだ。
傷が目立とうが、目立たなくなろうが
俺に傷がついたって事実が、過去があいつを縛り付ける。
俺の横であいつは自分を責め続ける。
俺がいると笑えないから離れた。」
「んなのお前のエゴだろ!!!」
声を張り上げる徹。
イライラする。
湊音の反応で二つのことに気付かされた。
一つは湊音には志生しか見えてないこと。
志生が心から好きで、志生が必要なこと。
もう一つは、そんな湊音を見て自覚した。
俺は湊音が好きなんだ。
自覚した時には失恋って笑えねぇ……。
でもだからこそ
好きだからって相手のために離れる勇気と
余裕が悔しい。
それと同時にコイツしか笑わせられねぇのに
コイツが離れて那央に寂しい思いをさせたのが許せねぇ。
「あぁ。俺も離れてから気づいた。
俺にはあいつが必要で、あいつが隣にいないとダメなんだ。
離れて1年……幸せにしてやれねぇから離れるんじゃねぇ
幸せにしてぇから隣にいるんだ。」
そう思ってからは色々行動した。
この那央の地元に出会ったこの街で
暮らせるように色々動いた。
那央が隣で安心して笑えるように。
「……認めるしかないんだよ。
こいつら2人のことは。」
そう言って徹の肩に手を置くハチ。
「けーっきょく、こいつはいいところ
ぜーんぶ持ってくんだよなぁ…。
那央に最初に出会ったのは俺なのにさぁ。
忠犬ハチ公なんてバカみてぇなことして
ハチなんて呼ばせてまでしても
結局最後はコイツだもんなぁ……。」
笑って言うハチだが
少し寂しそうだった。
「だからお前の気持ちもわかるよ。
俺なんか親友と好きなやつ
同時に失ったようなもんだぜ?」
そう言って徹を見るハチ。
「……で、なんでお前らは湊音を那央って呼ぶんだ?
戻ったら教えるって言ってただろ?」
ガチャ
「それは僕が説明するよ。」
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