アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
82
-
「那央、もう大丈夫なのか?」
そう心配するハチに笑顔を向けた。
「僕、湊音って名前すきじゃなかったんだ。」
みんながバラバラに座る中
中央の椅子が空いていたから座った。
その方が全体に聞こえる。
「僕の両親ね、本当の親じゃなくてね
学生の頃に出来た僕は次の恋愛には
邪魔だからって捨てられたんだ。
放置されて、食事もまともに摂れなくて
オムツも変えて貰えなくて
見つかった時はギリギリだったらしい。
見つけて育ててくれた今の育ての親には感謝してる
でも、名前が…湊音って名前、僕を捨てた母親の名前が
ミナミって言うんだって。1文字変えてミナト。
3分の2は僕を捨てた母親の名前。虫唾が走る。」
みんな黙って聞いている。
「親にも捨てられて
家族だと思ってた人達は血が繋がってなくて
まだガキだった僕は見捨てられて
一人ぼっちだと思っていた。
世の中どうでもよくなって…邪魔なら
産まなきゃよかったのにって。
死んでも悲しむやつなんか居ないって本気で思ってて」
遥さんにもらったいちごミルクを口に運ぶ。
「そんな時、なら新しい名前って
那央って名付けてくれたのが志生だった。」
まぁ、那央ってなんとなくの音の響きと
3文字が嫌なら2文字でいんじゃね?って
感じだから意味はねぇけどな。
と笑う志生。
「だから僕は那央って名前は気に入ってる。」
苗字なんてそのうち俺のやるなら
京極 那央になんだろ。って言っていた志生。
あの頃は本気にしていたよ。
「じゃあ俺も那央って……」
そう呼ぼうとした徹。
「でも、ダメなんだ。
那央って呼んでいいのは
ここにいる志生、ハチ、遥さん、奏斗
青空、雪だけだから。」
僕らの思い出に入り込んで欲しくない。
「これが志生達が僕を那央って呼ぶ理由。」
「…………随分と呑気に穏やかに
みんなと溶け込んでるね。」
1度も口を開いていなかった奏斗が口を開いた。
「あの女とは解決したのかもしれねぇけど
俺とは解決してねぇよ。那央。」
次は奏斗と向き合う。
「言ったよな?
お前に笑う資格あんのかよ。
お前に幸せになる資格あんのかよ。って」
「言ってたね。」
「お前、また繰り返したよな?
今回は怪我が無かったからよかったものの
また兄貴に傷をつけるつもりだったのか?」
「そうだね。今回はハチが居たから
怪我がなくて済んだけど
怪我しててもおかしくないし
結局、僕はハチも含めてまた守られていた。」
「そんなんだから兄貴はお前を捨てたんじゃねぇの?」
「……っ」
「てめぇ。黙って聞いてりゃいいかげんに……」
志生が奏斗に殴りかかろうとしたが
「志生…大丈夫だから。」
僕が制した。
「人の幸せの資格や権利を
人が決めれるのかって思うけど
僕もあんなことがあって、志生にあんな傷を負わせて
幸せになっていいのかな、俺だけ笑ってていいのかな
って思ってたりもしたから責められてもおかしくはない。
でも、もう逃げない。
志生に捨てられても、逃げられても追いかけるし
僕の隣は志生がいい。志生じゃなきゃだめなんだ。」
「もういいだろ……。諦めろよ。」
呆れ気味の志生。
悔しそうな奏斗。
「そろそろ諦めたらぁ?ブラコン奏斗くん?」
からかうように話しかける柊先輩。
「は?ブラコン?誰が?」
首を傾げるハチ。
「ばーか。コイツが好きなのは俺じゃねえ。那央だよ」
志生は奏斗の頭に腕を置き
僕を指さす。
「はぁ?もしかしてヤンデレちゃんなの??」
眉をひそめて面倒くさそうな顔をする柊先輩。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 105