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志生は気づいていた
家族でいる所を初めて見るからこそ
気づいたのかもしれない違和感に。
テーブルを挟んで両親
志生の前には父親
その隣に母親
テーブルを挟んで向かい側に
志生とその隣に僕。
実母のことを聞いてから
両親とはお互い気まずいままだった。
母親が飲み物を出してくれてる間
しばらく沈黙が続いた。
え、なにこの空気…。
「君名前は?」
重たい空気の中
口を開いたのは父親だった。
「京極 志生です。」
「京極くん…。話って言うのは……」
「……突然ですが
俺は湊音くんと真剣に交際を考えています」
母親が飲み物を全員に配り
席に着いた途端、爆弾を投下した志生。
「えっ!!?」
初めて聞いたんだけど!?
「…真剣にというのは?」
「まず、おふたりには同性ということで
不安も大きいと思います。
将来孫の顔をみせてやることが出来ないかもしれない。
こいつ……湊音の過去も聞きました。」
ちらっとこちらを見る志生。
なんだか顔が暑い…。
「湊音は、今はまだ実母の事もあり
結婚とか嫌悪感が大きいと思う…。
俺はそこにつけ込んでるだけかもしれねぇ…。
けど、湊音が笑ってくれればいいと思ってる。」
真剣な表情の志生。
「もし、湊音が結婚したいと言ったら?」
父親がそう志生に問うと
「もちろんそれで幸せなら
俺は身を引くつもりです。」
え…。
本気なの?
「でも、こいつが結婚したいと思うのは
俺しかいないってくらい愛すんで。」
僕の頭に手を置き
いつものようにイタズラに笑う。
所々タメ口もあるが
慣れない敬語に
慣れない黒髪。
まるで娘さんを僕にくださいって
挨拶するみたいに考えてくれたんだ。
「君は学生だろう?
どこの学校なんだ?」
「俺はここから2時間ほどの所に住んでます。
今は夏休み期間でこっちに観光で来てて
こっちに来たばかりの頃に湊音と出会いました。
高校2年の17歳で、学校に通いながら
投資で生計も立て一人暮らししてます。」
え、そうなの!?
「投資はどこに居ても出来るし
高校も通信に編入も出来るから
こっちに越してくることも可能です。」
えっえっ。
色々、今知ったことが多すぎてパンクしそう…。
「ですが、湊音には湊音の交友があって
俺がいることによって弊害になるなら
せめて俺が高校卒業するまでは我慢するつもりです。」
「将来のことは考えているのか?」
「父が経営している会社に継ぐことも
考えてはいますが
そうなると湊音のそばにいる時間が
あまりとれなくて寂しい思いをさせちまうんで
今は投資をしながら経営学を学ぼうかと思ってます。
高校卒業後は時が来るまでは湊音のそばに
いてやるつもりです。」
「志生…。」
「どうかお願いです。
突然初対面の俺に言われてもかもっすけど…
俺がそばにいない間
湊音の近くにいてやれるのはおふたりなんです。
湊音もまだ受け入れられない状態だと思うけど
どうかおふたりだけは変わらず愛情を与えてやってください。
湊音も戸惑ってるだけなんです。
おふたりからの変わらない愛情があれば
大丈夫ですから。どうかあいしてやってください。」
その言葉に涙を流す母。
父も少し涙を堪えてるように見えた。
どうなることかと思っていた空気は
穏やかになり少し雑談をして
志生は帰ることになった。
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