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「約2年間、生徒会お疲れ様でした。
会長、副会長。」
「もう会長は君だよ。」
「あ、じゃあ…神宮寺先輩…?」
「私らがいないから生徒会は頼みましたよ、副会長?」
「は、はい!涼宮先輩!!」
副会長…涼宮先輩の笑みに
固まる徹。
そんな光景に笑顔が零れた。
「まぁ、俺も雅も大学は附属の大学に持ち上がりだから
困ったら大学の方に顔出してくれればいい。」
「高校より大学の方が時間ありますしね
私たちの方が心配で見に来るかもしれませんね」
抜き打ちも兼ねて。
そうウィンクする涼宮先輩に
背筋を凍らす徹。
「とは言っても大学になると学問より
家業の方で忙しくなるんじゃないんですか?」
そう聞くと
「あぁ、高校よりは家業に専念するから
違った意味で忙しくはなるけど
俺は雅を信頼してるからそこまででもないよ。」
やっぱりこの2人はずっと昔から一緒にいる
絶対的な信頼関係がある。
「たまには素直になった方がいいですよ?」
そう涼宮先輩に耳打ちすると
「…なんのことです?」
そう軽く睨まれた。
「神宮寺先輩、涼宮先輩の前だと
他の人と態度違うから脈アリですよ!」
そうニヤニヤして話してると
軽く叩かれた。
神宮寺先輩と涼宮先輩との挨拶を終え
僕は徹にも伝え、図書室へ向かった。
「みな…」
「くま先輩。おすすめの絵本見せてください。」
そう言って一冊の本を受け取った。
内容は迷子のくまの子どもが
いろんな動物に助けられ
いろんな愛情を知り、家族の元へ帰れたお話。
「もしかして、この主人公って
くま先輩?」
「これ…僕の母が書いた。」
「えっお母様作家さんなんです!?」
「ここに、ある絵本。全部母の絵本。」
ここにあるって結構な数だけど…。
「これ、母のデビュー作品で、お気に入り。
小さい頃、たくさん、読んでくれた。」
きっとくま先輩のお母さんも
くま先輩に色んな人に出会って
いろんな愛情を受けて欲しい
最後は家族が待ってるから。
そう言ったメッセージのある作品だったんだろう。
「すみません、くま先輩。
僕、正直くま先輩と出会ったばかりの頃
生徒会にも興味無いし、バッジも面倒事から
避けたかったから拒否ってました。」
「みな…」
「でも、くま先輩が嫌いなわけじゃないですし
むしろ好きですし!
…だからこのバッジはお返ししません。
くま先輩が卒業するまでは。」
嬉しそうにするくま先輩。
「生徒会活動始まったら忙しくなりますね!」
「僕…みな、支える!」
「ふふ…ありがとうございます。
たまに疲れたら息抜きでここで
一緒に絵本読みましょ。」
「うん…いっぱい、おすすめ…する。」
楽しみだなぁ。
「くま先輩…みんなからの愛情は受け取りました?」
「…う、ん!!」
「今、しあわせですか?」
「しあ、わせ。
みんなといると幸せ!!」
いつものくま先輩からは想像できないほど
強いはっきりとした言葉だった。
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