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拾ったのは黒い犬ですか?それとも腹黒い犬ですか? 6
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言葉通りの、飼い主と犬。飼い主は犬を正しく管理する義務と責任がある。
俺が断れば、この子は生きていけない。存在していないのだから自分を証明できず就労不可。家に住むこともできないし、食うにも困る。死だけが待っている。
気づいたら俺は、遅い晩飯用に買っていたコンビニの高菜おにぎりを美少年に差し出していた。
「それがお前のためになるなら。俺はあの時お前に助けてもらい、昇格までさせてもらった礼がしたい。ありがとう。それに、行く当てのない子供を放り出すのは、俺のプライドが許さない。狭いが、なんとかなるだろ。えーと、名前は?」
「名前はない。元々、ない。好きに呼んでいいよ」
「じゃあ…………みなみ、みねぎし……みな、ぎ……ミナギ。今からお前の名前はミナギだ。これからよろしく」
なんとなく、新聞にあった名前をいじってみた。呼びやすく、最初から彼の名前だったかのような心地のよさに胸が温かくなった。
どうやら俺のことを徹底的に調べ上げているらしいお前なら、俺が困っている人を放っておけない性格だって知っているんだろう?
それをわかったうえで、俺が今日残業するとわかっていて、こんな遅い時間に外で待っていた。まるで「拾ってください」とでも言うように、少々態度は腹が立つが。
俺が断れないのを確信していた。お前さ、もしも万が一俺の機嫌が悪くて断っていたらどうしてたよ?
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