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黒い傘 4
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「――あらミナギ君、今日もパパの付き添い?大変ねぇ。こっちにおいで、お菓子でもお食べ?」
「こんにちは。そうなんですよ、パパは休みの日でも家で仕事ばっかりでつまんないんです。あ、いただきまーす」
「誰がパパだっ!例の少年の事件の報告書を提出するだけだ、このあとはちゃんとミナギと休日を過ごす。いいか、くだらないことで電話してくるなよ?」
ミナギはもう何十回も、俺の甥っ子として来ている。すっかり慣れた感じで俺と一緒にやってきたのは俺が勤務する、警察署。
口々に聞こえる「お疲れ様です」の1つ1つに「お疲れ」を返し、自分のデスクに着けばミナギが早速捕まっていた。
最近は増えてきつつある女性警察官。可愛いミナギがお気に入りで、いつ来てもいいようにいつも自分のデスクにお菓子をストックしている。
おい、そいつは表向きは一般人だぞ。機密情報があるデスクに連れ込むなよ。ミナギも、すっかりノッて餌付けされやがって。
俺が休日出勤すると、課長だからか部下達がピリつく。だがそこにミナギが加わると途端に空気が軽く柔らかくなって、皆の顔に笑顔が生まれる。
しっかり俺の甥っ子を演じてくれているミナギ。仕事そっちのけでたかってきた俺の部下達の話し相手になって、笑顔を振りまく。
おいお前ら、ミナギはまだ子供だが19だぞ?小さなガキじゃないんだ、さっさと仕事に戻れよ。とかイラつきながら、パソコンを起動させる。
そこで電話が鳴り響き、さすがは俺の部下。一瞬でシンと静まった。事件が起こったらしい。ミナギにご執心の女も他の部下達も、上着を羽織ると名残惜しそうに出ていった。
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