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空気読める子瀬崎くん
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「ごめん、待ったよね」
私服に着替えたから若干時間かかった。瀬崎くんももう着替えてて。なんというか大人です!シャラッて感じの服を着てた。
イケメンは自分に似合う服を知っているってほんと。服に着られるんじゃなくて、本人が着てる感がする。
「いや、俺も今来たとこ」
なんだろうこのカレカノ感。この人手馴れてるだろ多分、なんて思いつつ瀬崎くんの隣に並んで祭りに向かう。…受験生がこんなとこ来ていいのかなあなんて遠目で思いつつ、まあ楽しんでもいいっしょ、というやはり楽観的な僕が勝つという虚しい結果に終わる。ごめんなさい。
平日なのに、賑わっていて。
老若男女いた。
そこのスーツ着た男の人。仕事しなさい。って………僕もいえないけど。
ぎゅむぎゅむ、と人だかりに押されてると、瀬崎くんが僕の腕を掴んで、僕に瀬崎くんの服の袖を握らせた。
………………この人、絶対モテる!
雪くん、確信しました。
それから、射的をやったり、だるま落としをしたり、金魚すくい…、チョコバナナだって食べた。
「ふぁー、面白かった……」
「そ?よかった」
「誘ってくれてありがとう」
絶対、瀬崎くんが誘ってくれなかったら今頃勉強だよ………!他愛のない話をしているとドン、と誰かとぶつかった。
「あ、すみませ…」
「こちらこそ…って…え、日向……と、碧」
何でこの2人に会うんだろう、せっかく今気分が晴れやかだったのに、また、少し下がる。
1人ならまだわかる。
けどなんで2人。
「雪…、あと、瀬崎?遊びに来てたんだ?珍しいね。」
日向がなんか首を傾げて聞いて来た。
「倉持と茅野も来てたの。偶然だなー。ばいばい、行こう雪」
僕が少し俯いていたら瀬崎くんがそう言って手を引いてそのまま日向達に何も言わずにその場を立ち去った。
「…せ、瀬崎くん…、あの…」
「嫌だったんだろ〜?あの空気。あ、雪って呼んじゃったけどいい?」
「…ありがと、うん、雪でいいよ。えっと、僕は……空くん?って呼ぶね」
瀬崎くん…、空くんはわかってくれてた。
僕が、日向と、…いや、日向と碧と話したくないこと。あの空気が、嫌いなこと。だから、連れ出してくれた、彼の優しさ。
お祭りは回ったから終わりにして、また明日ねって、空くんとばいばいした。
空くんは気遣い上手なんだなぁ。
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