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ユッケちゃん
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園芸委員の仕事内容をザッと説明されて頭に叩き込む。といってもやっぱり朝の花壇への水やりとたまーにある花の植え替え。それくらい。
花壇への水やりは前まで掃除のおばちゃんがやってたんだけどさすがに重労働だーって言ってやめになったらしい。
…大事にされてんな、おばちゃん…。
「これからよろしくなーっ!えーっと、ユッケちゃん!」
「…雪です」
なんで食べ物になるの…、美味しそうだね…。
訂正しても、彼は僕をユッケちゃんと呼んだ。
あだ名、なのかな。
教室に戻ると空くんがシ◯単を眺めていて。
…ま、眩しいっ…、じゃなくて、空くん本当にシ◯単好きなの…?僕とシ◯単どっちがいいのよっ……なんて頭で考えて口には出さなかった。出したら空くんどんな反応するのかな。
いや、やめとこう。
「おまたせ…!ごめん、長かったね」
パタパタと空くんに近寄って顔を覗き込む。シ◯単から視線を僕に移した彼は微笑んで優しく撫でてくれた。
「全然平気。帰ろっか」
シ◯単を閉じてバッグの中にしまって教室を出た。なんか、こうやって待ち合わせというか、そんなことしてるって…カレカノみたいだな…なんて。事実上カノ、ではなくてカレカレだけど。
「そういえば、深くは言ってなかったけど、沙優は今遠い大学病院に入院してて、そこでなんかイケメンの主治医に会ったらしくて元気そうだから、もう会ってないよ。」
帰り道に空くんはそうポツリと零した。
イケメンの主治医って…、空くんを超えるイケメンなんていないよ!とか今思っちゃったけど恥ずかしいから言わない…。でも、沙優ちゃんが空くんを諦めて?くれて心底ホッとしている自分がいる。
それと同時に、空くんが沙優ちゃんに口付けてるのを思い出して少しだけ心が落ち着かない。
解決したとは言っても、まだ受け入れてない部分はあって。
「……キス、したい」
袖を掴んで小声でそう言って見上げると空くんは目細めてやわらかく微笑んで。
「今がいいの?」
と細長い綺麗な指で僕の唇をなぞって、僕と初めてキスした駅前のスーパーマーケットの陰に連れ込んだ。
優しいキスをして、そこから深く。空くんからのキスは、頭がふわふわするから、好き。
幸せな気分になる。背伸びをして空くんの首の後ろに腕を回して舌に応える。
バカップルみたいに、数分そこでずっと愛を交わした。
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