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⑧終
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特注品だというケーキ。箱を開けてみれば、そこにはフルーツがたくさん乗ったブッシュ・ド・ノエルが入っていた。目にした途端、大悟はぽろぽろと涙を流した。
「どうしたの、ハニー!? ケーキ嫌いだった?」
Kは突然泣き出した大悟に動揺し、強く抱きしめてくれた。Kの体温を感じて、大悟の心は温かさでいっぱいになった。
「日本で、両親との最後のクリスマスに食べたケーキ、それがブッシュ・ド・ノエルだった。だからまた食べたいなって思ってた。すごく、すごく、嬉しいんだよ」
両親と過ごした最後のクリスマス以降、大悟は絶望の淵に立たされた。辛い辛い出来事の先に、Kとの出会いがあり、苦しみを乗り越えた先にはまた幸せがあった。
「Kに会えてよかった。皆に会えてよかった。俺、またひとつ幸せになったよ!」
「じゃあ、もっともっと幸せにしたげる」
Kは大悟を左手でひょいと抱き上げると、開けたケーキの箱を閉じ、冷蔵庫に入れた。
「ケーキ、食べないの?」
「ケーキより先にハニーを食べたいから」
「でも、色々準備とか……」
ここでふと大悟の脳裏にある言葉が浮かんだ。
(いざというときのお助けアイテムや)
「あのね、K、俺が持ってきた鞄の中に紙袋があると思うんだけど」
Kが怪我したと聞いたので、泊まり込むことも考え、二人分の着替えを詰め込んだ。そこに藤原からもらった紙袋も一緒に入れたのである。
「ああ、これのこと?」
Kはソファーの隣に置いた鞄の中から茶色の紙袋を取り出す。中をチラリと見て、Kはクスリと笑った。
「藤原がいざというときのお助けアイテムだって言ってたから、もしかしてと思って」
前もそんな風に言って、藤原はセックスの前準備で使うものを用意してくれていた。藤原もレイの嘘を知っていたのなら、中身は同じようなものではないだろうか。
「うん、この様子だとカズミも知ってるね。じゃあ、心置きなく繋がろうか、ハニー」
諸々準備を済ませ、ホテルのバスロープを着た大悟は、ベッドの上で正座してKの帰りを待っていた。
俺が言い出したことだけど、なんだか緊張するな。
Kに「一緒にシャワーを」と言われたのだが、今夜はなし崩し的に行為に及びたいわけではなかった。よって大悟が終わった後、Kはシャワーを浴びに行ったのである。
初めてのときを思い出すな。あのときも藤原が世話を焼いてくれたっけ。
当初は大悟を気遣って、Kはなかなか手を出さなかった。気持ちと体がすれ違って、うまくいかなかったとき、藤原が言葉で伝えることを助言してくれたのだ。
「ハニー、お待たせ!」
そうこうするうちに、Kがバスローブ姿で現れた。濡れた髪にタオルを乗せ、よいしょっと言って大悟を抱き上げ、自分の前に座らせる。
「おかえり、K。まだ髪が濡れてるよ」
「いいの、いいの。早くハニーに会いたかったんだもーん」
その言葉通りに何もしていないのに、前が膨らんでしまっている。
「こうしてるとさ、最初にハニーを抱いたときを思い出すよね」
「俺も思ってた。あのとき、ものすごく緊張したなって」
「俺もだよ。本心から好きで抱きたいって思ったの、ハニーが初めてだったからね」
やがて、Kの青い瞳が大悟を捕らえる。どちらからともなく、唇を合わせ、軽いバードキスを繰り返す。やがてバスローブが脱がされ、Kは両方の突起を指でつねりはじめた。
「ん、ンン……ッ……!」
Kに触られれば、これだけでも感じてしまう。
「ホント、エロい体になったよね、ハニーは」
そう言うと、Kは左の突起を舌で舐め回しながら、右は指でやや強く弄り始める。
「ん、それ……ンンッ、K、が、あっ、ああっ……!?」
Kの与える刺激に体はビクビクと反応を示し、大悟のペニスは勃ち上がる。
「俺が欲しくなった?」
こくりと素直に頷けば、Kの瞳に欲情の光が宿る。
「ハニー、四つん這いになって。じっくりナカを解してあげる」
***
「ん、や、K、も、う、いい、いい、からぁ……!?」
Kの言葉に嘘はなく、彼はいつも以上に入念に解してくれている。
「だーめ。ちゃんとしなきゃ、辛いのはハニーなんだからね」
先走りがシーツを濡らし、大悟の体は快感の熱で汗ばんできた。解すといいながら、Kは時々前立腺を触って、大悟に強い快楽を与えるも、絶頂の寸前で止めたりする。
「やら、K、もう、イキ、た、……ああ、んんッ……!?」
そしてまた全身に狂おしい程の快感が走り、大悟は鳴き出すのだ。
「あっ、ん、ああっ、や、イッちゃう!?」
「ふふ、イッていいよ、ハニー」
「あっ、や、だ、K、の、ほ、し……、Kじゃなきゃ、や……んん、ッ!?」
絶頂の寸前で指が抜かれた。Kは大悟の体をくるりと反転させ、ベッドに押し倒した。
「もう一回言って、ハニー。俺が、何?」
Kに向かって両手を伸ばし、大悟はありったけの気持ちを言葉にした。
「Kが、ほしい。Kじゃなきゃ、嫌だ。早く、来て……」
「オーケー、オーケー。エロいおねだり、よく出来ました」
Kは満足そうに笑った後、持っていたらしい避妊具を口で開け、膨れ上がったペニスに装着した。
「ナカに出して、いいのに」
「今夜はちゃんとしたいの。まあ、最初だけかもだけどね」
クリスマスに大好きな人と繋がる。それが、どれほど幸せなことかを心と体で思い知る。
「あっ、ああっ、K、好き、大好き……ッ!?」
「俺もだよ、ハニー。どんなハニーも大好き。一生離さないから、ね、ッ!?」
結局、避妊具をつけたのは最初だけで、後はいつも通り。何回したのか、数えることすらわからなくなり、大悟は眠ってしまった。
柔らかな光を感じて目を覚ましたとき、既に朝になっていた。
「おはよう、ハニー」
大悟の体は綺麗になっていて、側でKが微笑んでくれている。昨夜の濃密な交わりを感じさせないように。
「おはよう、K。メリークリスマス」
「メリークリスマス、ハニー。朝御飯替わりに、ケーキ食べよっか」
「うん!」
いつもの朝、いつもの光景。今日も幸せな日常が始まった。
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