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ばぶちゃんと一緒。
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「ばぶばーぶ、ばーぶっ」
満足げなばぶちゃんと、お風呂上がり。本当に一緒にとは。
ばぶちゃんと並んで侍従たちに洗われ、薬湯風呂に2人で浸かったあとは、侍従から身体に傷薬を塗ってもらえた。
ばぶちゃんはそれを心配そうに見守ってくれて……本当に、こんな手当てをしてもらえることも初めてで。
実家ではいてもいないような存在で、使用人たちが日々の鬱憤を放っても、何の咎もないから、やりたい放題にされてきたから。
そしてふかふかのバスローブを着させられる。こんなふかふかなの、初めて。
「ばぶっ」
「うん、着心地いいよ。あれ、でも……」
この胸元のひだ……何だろう?ぺらりとめくれば……。
おうっ、雄っぱい直にオープンっ!?いけないいけない。俺が知らないだけで、高級なのはこれが普通なのかもだし。
雄っぱい直見せカバーを下ろそうとしたのだが。
「ばぶっ」
「ひゃえっ!?」
ばぶちゃんがいきなり目の前に……そして俺がカバーを掴んでいる手を握ったまま、放してくれない。さらには。
「マミー、ちゅーちゅ」
「え?」
ちゅーちゅって……そう、思ったその時、ばぶちゃんの顔が俺の胸元にぐわっと近付き……。
ちゅぷ――――――――。
「ひゃあぁぁぁぁぁんっ!!?」
――――――――何か……何か……吸われた。
雄っぱい、吸われたぁ~~っ!
そして何故か分泌を始めた俺の雄っぱい!そりゃぁ受け男子だもの!子孫を残せるのだから雄っぱいは出るけど、普通授乳が必要な時だけじゃないの……!?
「ひゃひ……」
「マミー、ばぶっ」
げぷっ。
俺はふるふるだったけど……。ばぶちゃんはめちゃくちゃ満足そう。げっぷするほどに……。
「こら、ばぶちゃん!」
その時、鋭い声が響く。先程のままん味侍従……?
「ばぶちゃんと過ごすのが初めてのままんにいきなりちゅーちゅするとは何事ですか……!」
あれ……ばぶちゃん……レェーヴィ殿下なんじゃないの……?それとも違うの……?お説教とか……していいのか……?
しかしばぶちゃんは……。
「ばぶー」
ばぶしゅーん。
めっちゃ堪えてたぁー。何か……何かかわいそうになってくるのだけど!?
「まずはままんの身体が大事!今日はお疲れなのですから、しっかりばぶセラピーを施すのです!」
そう、ままん味侍従が告げれば。
「ばぶっ!」
ばぶちゃんは使命感に満ち溢れたかのような顔立ちで頷く。
その、ばぶセラピーって何だろう?そもそも何で……ばぶちゃん……?
詳しいことは何も分からないままベッドに運び込まれた俺は。
「ばぶー!マミー、ばぶばーぶ!」
何故かご機嫌なばぶちゃんに抱き締められ、ふかふかのベッドの上で一緒に……って、えぇぇぇっ!?何で、何で添い寝……。
「ばぶー、ばぶっ!」
なでなでと優しく髪を撫でられる。どうしてかとても落ち着くような……。それにこんなふかふかお布団初めてで……眠く、なっちゃう……。
※※※
「ん……あさ」
朝が来たのか……。
そうだ……っ!
「起きなっ」
きゃ、また叩かれる……!恐怖感から身体を起こそうとするのだが、がっちりとホールドされていて全く動けない。
そしてどこか安心する匂い。
ふかふかのお布団に、我に返る。
ここは、あの家じゃない。
「ばぶちゃん」
そうだ、昨日はばぶちゃんと一緒に寝ていたのだった。
「ん……ラウリ……」
ばぶちゃん……やっぱり、ばぶちゃんは、レェーヴィなんだよね。昨日は何故あんなにばぶばぶ言っていたのか分からないが、でもやっぱりこのひとは……第2王子のレェーヴィだ。
「ごめんなさい。俺は、ラウリじゃないから」
そう言って、うっすらと瞼を上げるばぶちゃん……いや、レェーヴィを無理矢理引き剥がす。
そしてハッとしながら目を見開くレェーヴィ。
「そんなにラウリと寝たかったんじゃ、何で俺と寝たの」
ラウリも城に泊まったのではなかったか。それなのに何故、俺をベッドに誘って……そして愚かにもそのまま誘われてしまった自分が惨めで、……そして愚かしい。
「……やっぱり死ねばよかったんだ……」
とっとと城から抜け出して……なんて言う前に、誰かや魔物に殺される前に、死ねばよかったんだ。
パーティー会場にだって、凶器になるものはたくさんある。王城の広大な庭なら突き刺して死ねるものくらいたくさんあるだろう。
「何を言っているんだ!ラウリ!」
レェーヴィが焦ったように俺の両肩を掴んでくる。
「触るな!」
「……っ」
レェーヴィの手を思いっきり振りほどけば……何、その顔。ショックを受けたような、ばかばかしい顔。
「レェーヴィが寝たかったのは……結婚するのはラウリの方でしょ!?なのに何で俺を……」
似ていない双子である。夜の暗がりだからといって顔立ちがそもそも違うのだから見間違えなどするはずもない。それに王城の中なら煌びやかで、さらにみまごうはずもない。
どうせ死ぬなら、王族への不敬なんてどうでもいい。いや、臣籍降下するからもう王族ではなくなるかもしれないとはいえ、それでも王子。未来の国王の弟。公爵になる男だ。
不敬罪で処刑されようが、もうどうでもいい。どうせ死ぬなら一緒だ。
「お前なんて嫌いだ!死ねばいい……!」
「ラゥ……っ」
「それは、俺の名前じゃない」
奪われて、もう俺のものじゃなくなった、ガラクタ。レェーヴィが選んだ聖者の名前。
「いい加減にして」
どこまでひとをばかにすれば気が済むのか。こんな悪趣味な遊戯を……、ラウリと仕組んだのだろうか。俺を辱しめて、貶めるために。
「もう来ないで」
「どこへいく」
「あんたに、答える義務なんてない……!」
そう叫べば勢いよくベッドから飛び降りる。
――――――――それから……。
ベッドの脇に置いてある小卓の上の、メモ用紙と先端の尖ったペン。
うまく絶命できるとは限らないけど。
それでも。
両手でぐっと掴み、ペン先を自分に向ける。
恐がっちゃダメ。
死ぬのを恐れては、ダメ。
俺はもう……死にたい……。
そひて勢いよく……心臓に向かってペンを引き寄せる。
「やめろ!」
「うぐっ」
勢いよく響いた声と共に、痩せ細った手首をグッと掴まれれば、痛みで反射的にペンが腕の皮膚を引っ掻きがら溢れ落ちた。力で押さえ付けられれば、ペンを握る力すら残っていない自分のいたらなさに涙が出てくる。
「嫌だ……放して」
後ろからレェーヴィの腕に拘束されて動けない。
抗う力すらないなんて。
死ぬことすらできないなんて。
「何で……何で死なせてもくれない……!」
「死ぬな……死ぬだなんて言うな……っ!どうしてそんなことをっ」
「もう俺を自由にして……っ」
溢れ落ちた涙のように、俺の命も溶けて消えてしまえれば、どんなによかっただろうか。こんな惨めな思いをさせられるのなら……。どうか……。でも聖者に加護を授けた神が、俺に微笑まないことくらい知っている……。
「ラウリ……」
「そんなにラウリがいいなら、ラウリのところに行けばいい。それともラウリと一緒に俺のことをせせら笑ってるのか……?」
「ラウリ……?さっきから何を言っているんだ」
「あんたこそ……っ!もう、いやだ!生きていたくない……!何で、何で死なせてもくれない!お前らなんて悪魔と同じだ……!」
「ラゥ……っ」
また……またその名前を呼ぶのか。何故。そんなにラウリを呼ぶのなら、ラウリと勝手にイチャイチャでも子作りでもしていればいいじゃないか。俺を自由にして。死なせてくれればいいじゃないか。そうすれば、公爵家から嫡男が消える。次男のラウリが跡取りとなって、ラウリと結婚したレェーヴィは公爵家を継げる。
ほら、俺が死ねば全てがうまく行くでしょう?それなのに、死なせてもくれない。この生き地獄の中を死ぬまで巡らされる。
「こら、レェーヴィさま!朝っぱら何をしているんですか……!」
その時、聞き覚えのある声が響いた。
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